【9月26日 CNS】旧暦の8月15日にあたる中秋節が近づき、中国で定番のお菓子・月餅(げっぺい)が数多く販売される中、最近は「ペット用月餅」も登場している。3兆円市場に発展した「ペット経済」を象徴し、売れ行きは年々増えている。

 日本でもお団子をほおばりながら中秋の名月を眺める伝統は今も続いているが、中国ではお中元やお歳暮のように友人や知人に月餅をプレゼントする。このシーズンになると、多種多様で豪華かつ高価な月餅がスーパーやデパートの商品棚いっぱいに並び、最近はインターネット販売も熱を帯びている。

 広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)南寧市(Nanning)の大手動物病院では、普通の月餅と同じくきらびやかにパッケージされたペット用月餅を、1箱69元(約1065円)で販売している。

 覃暁単(Tan Xiaodan)院長は「普通の月餅は油と塩分が含まれるため、ペットには向いていない。ペット用は、油と塩分を除去して低温で焼き上げています」と説明。月餅に含む食材も「鶏やアヒルの肉、ツナ、カボチャ、サツマイモなど、ペットの胃腸に優しいものにしています」という。

 ペット用月餅は2017年ペットに発売してから、売上は年々増加しているという。「購買層は、ほとんど30歳未満の若者。新しいことに挑戦することを好み、友達への贈り物としても購入しているようです」

 中国では近年、市民の収入や消費力が向上し、ペットを飼う人が急増。ペット向けのアロマバス、オンライン診療、お葬式など新しいサービスが次々と増え、月餅もその一つだ。2019年にはペット関連市場は2024億元(約3兆1265 億円)に達し、米国に次いで世界第2位の規模に発展した。

 南寧市で犬を飼っている20代の女性、羅琳恵(Luo Linhui)さんは「ワンちゃんも中秋節をお祝いするのが当然と思って月餅を買いました。誕生日も特注のペット用ケーキをプレゼントしています。私たちにとっては家族同然ですから」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News