【8月12日 CNS】中国の観光業界が「夏の商戦」に力を入れている。新型コロナウイルスへの警戒心が続く中、航空券や観光地入場料を大幅に割引し、「巣ごもり消費」が当たり前になった市民を取り戻そうとしている。文化観光省は先月14日、夏休みに合わせ、旅行会社に省と省をまたぐツアービジネスを条件付きで認めた。

「中国版Go Toキャンペーン」とも言える施策を受け、航空会社は大胆な低価格を打ち出した。ある航空券サイトでは先月30日、8月8日の北京-上海間の片道エコノミークラスが8割引の約400元(約6096円)、北京-昆明(Kunming)間も同じく8割引の500元(約7620円)で販売していた。

 各地の観光地も同様だ。山東省(Shandong)では世界遺産・泰山(Taishan)や、儒教の創始者孔子(Confucius)をまつる孔廟、「天下第一の泉」といわれる趵突泉など81の景勝地で、入場料8割引などの大幅値下げをしている。山東省に限らず、全国的にも少なくとも500か所の景勝地が割引などの措置を実施している。

 中国では新型コロナが拡大する以前の昨年、夜間に外食や娯楽を楽しむ新たな消費スタイル「夜間経済」が広がっていた。各地ではその勢いを取り戻そうと、「夏の夜市」に力を入れている。

 雲南省(Yunnan)昆明市(Kunming)の繁華街・南強街では「深夜食堂・夏のハッピーライフフェスティバル」を開催。午後9時から午前3時まで、自由市場で数多くのグルメを味わい、伝統演劇のショーやパレードを楽しめる。

 北京ではお勧めの夜景ルートを10種類設け、夜間の散策や屋外のステージショーを楽しめるようにしている。また、美術館や景勝地、公園などの開場時間を延長する「ライトアップ北京」キャンペーンを展開し、文化・観光面の消費を促進する。

 観光客の密集を避けるソーシャルディスタンスの確保、スタッフのPCR検査など、各地では感染対策も徹底している。7月20日から感染低リスク地域で再開したばかりの映画館でも、チケットはオンラインで実名購入し、入館率は30%以下にする対策を取っている。

 先月29日時点で再開した映画館は全国で5985館に上り、再開率は52.7%に達した。このうち山東省、山西省(Shanxi)、江西省(Jiangxi)、湖南省(Hunan)、浙江省(Zhejiang)などは60%を超えている。(c)CNS/JCM/AFPBB News