【4月12日 CNS】中国工程院によると、2月上旬、北京化工大学(Beijing University of Chemical Technology)の陳建峰(Chen Jianfeng)院士が率いる「有機無機複合材料実験室」のチームが、緊急課題として「マスクの荷電再生重複使用技術」研究をスタートさせた。

 2月末になると「重複使用可能な防護マスクの核心技術と産業化」プロジェクトが承認され、陳建峰院士がプロジェクト責任者として、張立群(Zhang Liqun)教授が技術責任者に任命された。

 北京化工大学が公表した情報によると、チームは校内の複数の部門と連携し、複数回使用可能な民間用マスク材料の技術において新たな成果を獲得した。同チームが開発したのは、高電荷/高抗静電気減衰、制菌、抗老化の三位一体の新材料で、ポリプロプレンを基体とするメルトブロー繊維材料の一種だ。

 ボランティアによる1人1日8時間のマスク装着実験を1か月以上続けた結果、新材料を用いて作られたメルトブロー繊維の布は、細菌とウイルスの阻止率、制菌性、抗老化性で共に良好だった。同材料のマスクは60℃以上の水に30分間漬けた後、干して乾かせば再使用できる。1日に8時間装着した場合、新材料を使ったマスクは少なくとも3日間使うことが可能(3日間使用を推薦)、従来型の使い捨てマスクに比べ、寿命は3~6倍とされる。

 現在、同新材料マスクはすでに100万枚を試験量産しており、4月には1000万枚を北京の感染症対策に投入する予定だ。

■理論研究から製品化へと進むグラフェン・マスクの開発

 航空機用エンジン製造の大手国有企業である「中国航空発動機集団(AECC)」は近日、傘下の航空材料研究院の科学者が、抗菌性が強く、通気性が良好で、使用時間の長い新型「グラフェン・マスク」を開発したと発表した。使用時間において、新型グラフェン・マスクは連続48時間使用可能、従来型マスクの12倍以上で、48時間使用後のろ過性能は4%しか低下しないという。

 グラフェンは、単層の炭素原子によって組み合わされた二次元の多機能ナノ材料だ。グラフェンとその派生物には、優れた広範囲の抗菌抗ウイルス能力があり、良好な生物適合性と工法が簡単などの特徴を持っている。グラフェン材料は従来型マスクのスパンボンド不織布のフィルター層の中で用いることができるとされる。

 AECCは次なる段階において、上流と下流産業との提携を進め、グラフェン新型マスクの医療領域での使用を加速化するとしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News