■「やつらの目的はイスラム化」

 人口1000人のマクリギアロスでは、使われなくなった精神障害者のための施設に200人の移民希望者を受け入れる計画が持ち上がったが、これに反対する抗議活動には約300人が参加した。参加者の一人、弁護士のタソス・ヤクミス(Tasos Yiakoumis)氏は、「われわれは郷土を守る決意だ。彼らを入れないようあらゆる手を尽くす」と述べた。

「やつらの計画は分かっている。西欧社会をイスラム化したいのだ。実現させはしない」と、ヤクミス氏は拡声器でデモ参加者に呼び掛けた。

 主に観光で生計を立てているこの村の住民は、移民希望者の受け入れによって犯罪率が増加すると主張する。市長で元軍人のアナスタシオス・マノラス(Anastasios Manola)氏は「ここは観光地だ。(移民キャンプの)隣で休暇を楽しみたいと思う観光客なんていない」と憤る。

 ギリシャ北部の他の地域でもここ数か月、同様の抗議活動が繰り広げられている。

 先週ブラナス(Vrasna)の村の幼稚園では、親たちが少数の移民の子どもと同じ建物を使うことを拒否したため、移民は別の幼稚園を探すことを余儀なくされる事態となった。

 批評家らは、移民希望者の受け入れを繰り返し否定的に描いてきたのは保守派なのだから、今の事態は自業自得だと指摘する。

 昨年7月に首相に就任したミツォタキス氏は、レスボス、サモス、ヒオス各島の移民キャンプを、年内に閉鎖すると発表している。これらのキャンプは今年半ばに運営開始予定の新たな小規模施設に置き換えられる予定だ。政府はさらに、移民希望者のエーゲ海(Aegean Sea)横断の試みを阻止するため、全長2.7キロ、高さ1.1メートルの浮遊式防壁を設置する計画だ。

 だが島の住民は、審査後に本土またはトルコに送り返すという条件でのみ移民希望者を受け入れるとしている。(c)AFP/Vassilis KYRIAKOULIS