【3月2日 AFP】ギリシャの首都アテネの北約450キロにある海岸沿いの小さな村マクリギアロス(Makrygialos)には、こう書かれた横断幕が掲げられている。「われわれは、不法入植者は何人たりとも受け入れるつもりはない」

 この村をはじめギリシャ本土の多くの村で、移民希望者の受け入れをめぐり政府と地方自治体が激しく対立している。

 ギリシャは1日、トルコから同国へと越境を試みた移民1万人近くの入国を阻止した。トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領がシリア情勢をめぐり欧州連合(EU)に圧力をかけるため、移民や難民がトルコ経由で欧州に越境することを容認するとの情報が流れたため、トルコのギリシャ国境沿いには移民が殺到していた。

 移民に対し厳しい態度で挑むことを公約にした保守派政権が誕生してわずか数か月。トルコに面した五つの島にいる移民希望者の移転問題は、行き詰まり状態となっている。

 レスボス(Lesbos)島、サモス(Samos)島、ヒオス(Chiosp)島、レロス(Leros)島、コス(Kos)島にある移民キャンプの公式収容人数は6200人だが、3万8000人以上が収容されている。これらの収容施設は過密で、衛生状態も悪化している。

 島の当局と住民らは政府に対し、欧州の移民危機の最前線に置かれ5年が過ぎた今、もはや数千人規模の移民希望者を受け入れるつもりはないと宣言している。

 キリアコス・ミツォタキス(Kyriakos Mitsotakis)政権は、これらの島にいる多数の移民を国内の別の場所に移動させることで、問題を緩和しようとしている。だが、本土の地方自治体の多くは、協力を拒否している。