【11月18日 CNS】中国・湖南省(Hunan)洞庭湖(Dongting Lake)で7日、尾びれにレンガをくくりつけられたスナメリの死骸が見つかった。中国科学院水生生物研究所が検視を行った結果、死んだスナメリは、漁民が仕掛けた漁網に誤って入ってしまい、動きが取れなくなり、窒息により死んだものと鑑定された。責任を追及されることを恐れた漁民が、スナメリの尾びれにナイロンのひもでレンガをくくりつけ、湖底に沈めたと思われる。

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 当地の公式発表によると、死んだスナメリはオス、体重40.5キロ、体長1.37メートル、体表に軽度の擦り傷あり。死骸は軽度の腐乱状態。頭囲0.8メートル、胸囲1.2メートル、総合的に判断して成年のスナメリとしている。

 11日にも、もう1頭のスナメリの死骸が発見された。長江(揚子江、Yangtze River)の湖北省(Hubei)新螺(Xinluo)流域で漂っていた死骸が引き上げられた。洪湖市(Honghu)生物多様性保護協会によると、このスナメリの体表には複数の網で締め付けられたような痕があり、漁網によって身動きが取れなくなり死んだものと推測されるという。

 保護協会の湯洪松(Tang Hongsong)氏は12日、死んだスナメリの体形は良好、体長1メートル超、体重40キロ。死んで間もない子どものスナメリで、死因については調査中であると語った。

 水生生物研究所の王丁(Wang Ding)研究員によると、スナメリの生存に影響を与えているものは、人類による活動だとしている。漁業活動や船舶輸送、河川整備などがスナメリの生存環境に影響を及ぼしているという。

 洞庭湖などの流域の漁業、特に不法な漁業はスナメリに対する直接的脅威だ。2012年には、洞庭湖水域でたった40日あまりの期間で12頭のスナメリが死んだこともあり、史上最悪のスナメリ集団死事件となった。当時の検視結果によると、電気ショックを与えられたものや、プロペラなどにより絞め殺されたケースもあったという。

 長江スナメリが集中して生息している地域で、新たな自然保護区をつくることが抜本的に解決できる方法だという。現在、長江には8つのスナメリの自然保護区がつくられているが、これらの保護区のグレードはそれぞれ異なり、既存の保護区をグレードアップさせ、専門的な管理機構をつくり、保護管理を強化しなければならない、と王丁研究員は語った。(c)CNS-新京報/JCM/AFPBB News