【9月25日 東方新報】中華人民共和国建国70周年となる10月1日、北京中心部の天安門広場(Tiananmen Square)周辺で軍事パレードが行われる。習近平(Xi Jinping)氏が国家主席に就任して以来、2015年の「抗日戦争勝利70年記念」と、2017年の「軍創設90年記念」に続いて3回目。かつての指導者の江沢民(Jiang Zemin)元国家主席と胡錦濤(Hu Jintao)前国家主席はそれぞれ建国50周年と60周年に1回ずつ行っただけ。習政権はなぜ、たびたび軍事パレードをするのだろうか。

 軍事パレードを統括する「閲兵指導グループ弁公室」副主任の蔡志軍(Cai Zhijun)少将は8月29日の記者会見で、「過去最大規模になる」「一部の先進的兵器を初公開する」と説明。「世界一流の軍隊へ突き進む姿」を見せると強調した。

 軍事パレードは、軍の威信と政権の統治能力を国民に誇示する最大の「武器」だ。一糸乱れず行進する兵士たち、大空を飛ぶ戦闘機などの編隊、大通りに次々と現れる戦車や巨大なミサイル。その盛大な光景は、国民に中国人であることの自尊心を鼓舞し、愛国心を高揚させる。当日は市民ら10万人のパレードも行い、夜には天安門広場で花火を打ち上げる。

 蔡志軍少将は「軍の改革以降、初のパレードとなる」とも述べ、わざわざ「軍改革」に言及した。習政権は、陸軍主体の旧態依然とした軍組織の改革を断行してきた。兵力を大幅削減してスリム化・近代化を図り、陸軍の下部組織に位置していた海軍・空軍を独立させて強化した。軍事パレードを実行することで、習政権が軍を変わらず掌握しており、習氏が掲げる「いつでも戦えて、必ず勝つ軍隊」づくりを実現させているとアピールできる。

「新兵器の公開」も目玉だ。2015年には米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「東風(DF)31A」、2017年には改良型の「31AG」を披露した。今回は、さらに「東風41」が公開されるかが注目される。「東風41」は命中精度が高く、移動式の多弾頭型で迎撃が困難とされる。こうした最新兵器を公開し、対米抑止力や台湾への攻撃能力を広く世界に知らしめることができる。

 今回の軍事パレードでは、中国政府は「国民の団結」を繰り返し呼び掛けている。軍事パレードの実施は、国内の結束を高める最良の「切り札」となりそうだ。(c)東方新報/AFPBB News