■エンパイアステートビルは、窓ガラス6500枚超と電球300万個を取り替え

 だが、一部のビルは既にこの問題に取り組んでいる。その一つ、エンパイアステートビル(Empire State Building)は「見本を示している」と、コロンビア大学(Columbia University)都市持続性プログラムを指導するニルダ・メサ(Nilda Mesa)氏は主張する。

 アールデコ様式の傑作とされ、1931年に竣工(しゅんこう)した歴史的建造物のエンパイアステートビルは、2009年から5億5000万ドル(約600億円)をかけて大規模な改修工事を進めており、エネルギー消費量を40%以上削減するとしている。

 建物の断熱性を高めてエネルギー消費量を抑えるため、6500枚以上の窓ガラスと300万個の電球、67基のエレベーターを全て取り替えるか改修。さらに最新式のエネルギー管理システムを導入し、エネルギー消費量は常時、必要に応じて最適化されている。

 一方、専門家らは、エンパイアステートビルのように非常に古い高層ビルのCO2排出量を減らすのはまだ簡単で、それよりも難しいのは、1970年代以降に林立するようになった全面ガラス張りの超高層ビルだと指摘する。

 最たる例が、1984年にドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が5番街(Fifth Avenue)に完成させた58階建てのトランプタワー(Trump Tower)だ。ニューヨークの環境問題などに取り組む団体「アライン(Align)」は、トランプタワーは市内有数のエネルギー浪費型建築物だと指摘している。