■規模が効率より重要

 大量の充電器が使われずに放置されている背景には、充電器メーカーの拡張が止まらないことがある。絶え間なく充電スタンドの新規布石と陣取り合戦を行う中で、充電器の利用効率は企業が注目するポイントではない。

「投資家にとって、企業の創業期は、効率より規模が重要。もし充電スタンドのよいポジションが取れなければ、株主は金を出さない」と北京のベンチャーキャピタルの責任者、周嵐(Zhou Lan)は記者に語った。

「投資家が充電施設メーカーを重視するのは、個々の企業というよりは産業全体を見ているから。投資家はやみくもな拡張が大量の遊休設備を産み出すことをもちろん知っているが、経営効率と黒字化を考えるのは、規模化を成し遂げた後で良いと考える」

「中国EV充電基礎施設促進連盟(EVCIPA)」の統計によると、充電業者数は18年5月の時点で、全国で318社に上るが、充電施設の96%はトップ10社が所有している。

 充電業界の最大の困惑は、まだ黒字化の方法を見つけ出せていないのに、残酷な競争に入ってしまっている点だ。発展のスピードが企業の生命を決めている。1年前には、いたるところで新規融資の話が聞かれたが、今年になったら、倒産の噂で持ち切りだ。

■赤字スパイラルからの脱出

 先ごろ発表された充電施設メーカーの上場企業数社のデータを見ると、業界は依然赤字状態にある。業界大手の「青島特鋭徳電気(TGOOD)」は最も早く充電市場で布石を打った企業だが、過去3年間は連続赤字だ。18年の充電関連売り上げは2億元(約32億円)だが、収益は当初予想の赤字1億元(約16億円)より悪化する見通しだ。

 企業の赤字は続いているが、充電の需要も同時に増大している。業界のシンクタンクである「前瞻産業研究院」が発表した「充電業界の先行き予測と投資分析報告」によると、自動車と充電施設のアンバランスな状態は拡大を続けている。17年末の時点で、中国全土で充電施設21万か所、車と充電施設の比率は8:1となり、新エネルギー自動車の充電ニーズを満足させるには程遠い状況だ。

 業界内の新陳代謝は進み、ひと時「補助金」と「値引き」だけで生きながらえていた企業はすでに相次いで市場から姿を消しており、業界は理性を取り戻しつつある。

 実際に、市場での厳しい試練を経て、多くの充電施設企業が「規模が大きくなれば損も増える」というスパイラルから脱出しようとしている。ある企業の責任者は「通常、充電業界の基本的な利益の源はサービスと電力差額と付加価値サービスだ」という。

「いまや、領地を奪い合うようなやり方は意味がなくなった。顧客のニーズを見極め、個性的なソリューションを提案することこそが、充電市場の勝利につながる道かもしれない」と語った。(c)東方新報/AFPBB News