【9月8日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)前米大統領(57)は7日、イリノイ州の大学で演説し、共和党はドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領を抑制できていないと激しく非難し、11月に行われる重要な中間選挙に向けて民主党支持者らの奮起を促して政治論争の場に復帰した。

 第44代米大統領を退任して以来、オバマ氏はトランプ大統領に対するあからさまな批判を避けてきたが、この日は初めて名指しで批判し、対決姿勢を明確にした。「共和党はどうなってるんだ?」と疑問を投げ掛けた上で、トランプ大統領は「恐怖と怒り」に「付け込んでいる」と非難した。

 さらに、5日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)にホワイトハウス(White House)内でトランプ大統領の「無謀」で「非道徳的な」リーダーシップに対する抵抗運動が行われていると主張する匿名の米政府高官による論説が掲載されたことを受け、トランプ政権の一部職員が大統領の命令を密かに無視しているという理由で「万事何とかなる」という考えは大間違いだと批判。

 ベテラン記者のボブ・ウッドワード(Bob Woodward)氏がトランプ政権の内幕を描いた新刊の中で、トランプ氏の側近は常時、怒りと妄想で政権運営を何日もまひさせる大統領の手綱を締めようとしていると記していることにも言及し、「わが国の民主主義がそんなやり方で機能するはずがない」と一喝した。

 共和党議員についても、トランプ大統領に真っ向から立ち向かう「気概を見せようとしない」ばかりか、「失望を示すあいまいな声明」を出すという「言語道断」な行動で応じていると非難。「彼らは今のホワイトハウスで起きている常軌を逸した事態の90%を助長しながら、『安心してください、残りの10%は阻止しました』と主張して、国民への奉仕を怠っている」と批判を加えた。

 オバマ氏は、中間選挙で民主党員を奮起させるため、上院議員時代の地元選挙区イリノイ州での学生向けの演説を皮切りに、同党候補者の選挙遊説に乗り出す。中間選挙では、連邦議会における大半の議員と36州の知事が改選となる。(c)AFP/Nova SAFO