■1回働けば1回の金、1日休めば1日の損 

 胡さんは妻子と杭州市の「焼肉通り」から2キロメートルも離れていない古い居住区で、2DKのマンションを知人とシェアして、家族3人が一部屋に住んでいる。10平方メートルの部屋にベッドとタンスを一つずつを置けば一杯だ。

 マンションの同居人はタクシーの運転手をやっている杭州人だ。夜勤が主で、明け方に勤務終を終えて帰宅する。胡さんも、夜食の出前を配達し終えて、同じような時間帯に自宅に戻る。二人は一つのソファーの両側にそれぞれ座り、一緒に試合を見ている。

 胡さんはたいてい、一つの試合を見終わることなく、途中で寝てしまう。朝起きるとまず、午前10時から午後2時まで働く。日々の一回目の出前ピークの時間帯だ。

 胡さんは2年前、4人の仲間たちと杭州に出て来た。同居しながら3000元(約5万円)の家賃を分担し、毎月の給与7000元(約12万円)の中から5000元(約8万円)を仕送りした。

 後に、妻と生まれたばかりの子どもを実家のある安徽省(Anhui)から呼び寄せた。暇を見つけて、親子3人で出前の配達用バイクで西湖(West Lake)湖畔で音楽が出る噴水を見学するなどしている。人が多い中で、夫婦二人は子どもをしっかりと抱いていた。霧や水の球や水の柱が次々と吹き出すと、色とりどりの光を通して、六和塔(Liuhe Ta)や雷峰塔(Leifeng Ta)が遠くに見えた。

 西湖は、胡さん一家が行ったことのある、最も近い杭州の名所だ。西湖より遠い名所には行ったことはない。時間がとれないからだ。配達を1回やれば1回分のお金、1日休めば1日の損、ということだ。(c)東方新報/AFPBB News