【7月6日 CNS】トラップ、ドリブル、シュート……流れるような動作の後、「シャカシャカ」という音とともにボールがゴールに吸い込まれた。中国・貴州省(Guizhou)貴陽市(Guiyang)にある貴州特殊教育中等職業技術学校のグラウンドで、同市で初めての視聴覚障害者のサッカーチームが毎日、練習を重ねている。

 視聴覚障害者サッカーは5人制で、ゴールキーパー以外のフィールドプレイヤーはアイマスクを着用しなければならない。専用ボールの中には小さな鉛の玉が入っている。選手は鉛の玉が擦れ合う音とコーチの指示をもとに、ボールと自分の位置を把握する。

 同校の視覚障害者のサッカーチームは2018年4月の結成。38歳から18歳の学生10人。練習は月〜金曜の午後4時~6時に行っている。

 余進波(Yu Jinbo)コーチは、「グラウンド上で重要な判断要素となるのは音だ。ボールの位置やスピードなどを音で判断する能力は、それぞれの選手が把握しなければならない。フェイントを織り交ぜたドリブル技術などは、さらに練習を重ねなければならない。簡単な動作も、視覚障害者にとっては長い時間をかける必要があるのだ。心理的な恐怖心も克服しなければならない」と話した。

 チームで最も上達の速い王志華さんは、先天性の視力障害者で、サッカーチーム発足当初は、ぶつかることが怖くて思い切り走ることができなかったという。王さんは、「自分がグラウンドで走る日が来るなんて思ってもいなかった。走るって気持ちがいい」と話した。

 6月にスペインで行われたIBSAブラインドサッカー世界選手権(IBSA Blind Football World Championships)で、中国チームは3位に輝いた。

 貴州特殊教育中等職業技術学校サッカーチームの王世海さんは、「いつか自分も中国代表メンバーに入って世界選手権の舞台で活躍したい」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News