【6月30日 AFP】テニス、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2018)は29日、男子シングルスの組み合わせ抽選が行われ、通算2度の優勝を誇るアンディ・マレー(Andy Murray、英国)の初戦の相手は、フランスのブノワ・ペール(Benoit Paire)に決まった。今年1月に臀部(でんぶ)の手術を受けて本格的な復帰を目指しているなか、元世界1位のマレーは大会への出場について「そのつもり」としながらも、決断は最後まで引き延ばす意向を示している。

 現在の世界ランク156位まで後退している31歳のマレーは、前週のフィーバーツリー選手権(Fever-Tree Championships 2018)で11か月ぶりに戦列に復帰したばかりで、プレーしたのはわずか3試合にとどまっている。今月18日の復帰初戦ではニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)に敗れ、今週のネーチャーバレー国際(Nature Valley International 2018)ではスタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka、スイス)相手に1回戦を突破しながらも、27日にはカイル・エドモンド(Kyle Edmund、英国)に屈して不安を残した。

 四大大会(グランドスラム)通算3勝を誇るマレーは、実戦練習が不足しているにもかかわらず、グラス(芝)コートで行われるウィンブルドンに出場する意向を示しているが、5セットの大会でプレーするのは昨年大会の準々決勝でサム・クエリー(Sam Querrey、米国)に敗れて以来12か月ぶり。マレーはこの日、ドローが決まった際「大丈夫だ。2日前と調子は変わっていない」と話している。

「きょうの午後にチームと相談し、あと2日ほど様子をみる。(30日に)数セットほどプレーしてからだね。ほとんどプレーするつもりでいるが、問題は毎日どうなっていくか分からないこと。ぶっつけ本番でプレーしなければならない。この2日間でどうなるか予想がつかないけれど、この数日間できょうの感覚が続けば、プレーするつもりだ」

 昨年のウィンブルドンでペールにストレート勝ちを収めているマレーは、大会初戦が始まる直前まで棄権する時間が残されている。来月2日に開幕する今大会でプレーするのに十分な調子に戻っているかどうかは公言していないなか、30日にはメディアの前で記者会見に臨む予定になっている。

 マレーが出場を決心した場合、3回戦では元全米オープンテニス(US Open Tennis Championships)の王者ファン・マルティン・デルポトロ(Juan Martin Del Potro、アルゼンチン)と当たる可能性がある。さらに勝ち進めば、準々決勝でラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)、準決勝でノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)、そして決勝でロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)を退ける必要がある。

 前年覇者でグランドスラム通算20勝を誇るフェデラーは、キャリア20度目のウィンブルドンで通算9度目のタイトル獲得を目指し、ドゥサン・ラヨビッチ(Dusan Lajovic、セルビア)との1回戦で大会の幕を開ける。同じ山にはルーカス・ラッコ(Lukas Lacko、スロバキア)、レオナルド・メイヤー(Leonardo Mayer、アルゼンチン)のほか、ゲリー・ウェバー・オープン(Gerry Weber Open 2018)の決勝でフェデラーを倒し、同選手を世界1位から陥落させたボルナ・チョリッチ(Borna Coric、クロアチア)が入った。

 現在36歳のフェデラーは、準々決勝ではケビン・アンダーソン(Kevin Anderson、南アフリカ)が待ち受けているとみられ、準決勝では昨年大会のファイナリストでフィーバーツリー選手権(Fever-Tree Championships 2018)を制したばかりのマリン・チリッチ(Marin Cilic、クロアチア)と激突する可能性がある。相手を6人倒して決勝に勝ち進めば、長年のライバルで10年前の決勝ではフルセットの名勝負の末に自身を倒したナダルと激突することになるとみられる。

 今年の全仏オープンテニス(French Open 2018)を制したナダルは、現世界1位としてウィンブルドンでは2010年大会以来のタイトル獲得を目指すなか、同大会で長い間続いている早期敗退に終止符を打つべく、イスラエルのデュディ・セラ(Dudi Sela)との1回戦に臨む。

 一方、初戦で米国のテニス・サングレン(Tennys Sandgren)とプレーするジョコビッチは、3回戦では英国勢をけん引するエドモンドと対戦する可能性があり、4回戦に勝ち進めば全仏オープンのファイナリストでオーストリアの強豪ドミニク・ティエム(Dominic Thiem)と当たるとみられる。ジョコビッチは故障が長引いて不調が続き、現在の世界ランキングも17位まで後退しており、優勝3回を誇る今大会のウィンブルドンではすでに自身が優勝候補でないという認識を示している。

 今大会で最も注目される1回戦のカードは、グランドスラム通算3勝の実力者ながら膝を手術してランキングが下がり、今大会ではノーシードとして出場するワウリンカと、第6シードに入ったブルガリアのグリゴール・ディミトロフ(Grigor Dimitrov)との一戦となっている。(c)AFP/Steven GRIFFITHS