【6月13日 東方新報】中国・広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)茘湾区(Liwan)にある西郊プールに最近、「女性専用プールコース」が設置された。

 多くの女性から共感を集めた一方、反対意見も少なからず存在した。第一に、「女性専用プールコース」の設置は、男性に対する差別でもあり、男性も女性と同様に専用のコースで楽しむ資格があるのではないかという意見。

 第二に、「女性専用」の論理の前提は、過去における「女性禁止」の裏返しでもあり、逆に女性差別にあたるのではないかという意見だ。

 一部の人にとってこの決定は、男性差別であると同時に、女性差別でもあったようだ。板挟みになってしまったプール側は困惑を隠せずにいた。当初、女性専用コースを設置したのは、女性はプールで水着を着用しているが、混雑時に男性と肌が接触するのは恥ずかしいと感じる女性がいた。また、男女間の体力、技術などに差があるため、混合コースでは、女性が男性のスピードに追いつけず、プールコースを塞いだり、男性に足を踏まれたりするなどの影響があった。

 プール内に女性専用コースが設置されたことにより、技術に自信がある女性は通常コースを利用し、それ以外の女性は、女性専用コースを利用することができるようになった。この決定は現実に則しており、決して「差別」ではないと理解できる。

■「男女平等」は固定観念への挑戦だ

 客観的にみれば、女性の体力は往々にして男性に及ばない。女性専用コース設置の前提は、女性に対する保護とケアにあった。「男女平等」を論じる際、特に強調すべきは、「男女平等」は社会におけるある種の固定観念への挑戦であり、不平等を是正することでもある。それはまさに、過去に女性が性差別のために不利益を被ってきた反省から、「レディーファースト」なる考え方が現代社会に生まれた。そのため、女性専用施設やスペースを設置することは、男性差別でもなく、また女性差別でもない。

「女性専用プールコース」以外にも、「女性専用」を導入している公共施設は少なくない。広州市や深セン市(Shenzhen)の地下鉄では、特定の時間帯に女性専用車両が導入されている。鄭州市(Zhengzhou)の一部路線バスでは、夏季限定で女性専用バスが運行されている。

 また、都市の空港や駅の保安検査では、「女性客専用ゲート」が設置されているケースも多い。これらはすでに、海外で導入されたものだ。「女性専用」を設置することで、女性に対するセクシャルハラスメントや、男性が女性に危害を加えるリスクを避けることができる。社会全体にとってプラスであるといえる。

 しかしながら、「女性専用」が氾濫したり、極端すぎるのもよくない。また、単に表面上の「女性専用」だけでは、女性専用に関連する政策をいくら実施しても、絵空事で終わってしまう可能性がある。

 中国・四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)の紅星路(Hongxing Street)にあるバス停で、「道徳模範」とされている。いかなる時間帯であろうと、乗客は自ら列に並んで静かにバスの到着を待ち、割込まず順番通りに乗車する。

 多くの人々にとって、住民のモラルは大変素晴らしいと映るだろう。住民がこの習慣を身につけることができたのは、導入当時、関係機関が組織した「マナー啓蒙指導員」が長期にわたって指導を実施した結果だ。女性専用施設についても、関係機関が指導し、その精神を浸透させることが必要になってくる。(c)東方新報/AFPBB News