【6月10日 東方新報】中国・湖南省(Hunan)で今年4月頃から、医療に携わるための国家資格試験の一つである「衛生職称(訳:医療資格)」試験に申し込んだ受験者に、次々に「千順教育」と名乗る会社から電話やメールが来るようになったという。

 彭さんは4月中旬、「千順教育」から自分の微信(ウィーチャット、WeChat)に連絡が入り、「医療機関資格試験の試験問題を購入すれば合格間違いなし」というふれこみに心が揺れ、言われるがまま金を振り込んだ。

 その後、同社から「今年の試験問題」という資料を受け取った。「試験前にその問題を暗記したけど、当日の問題は全然違った」と彭さん。試験後に「千順教育」のウィーチャットに連絡をし、理由を説明してもらおうと思ったが、なぜか自分はすでにブラックリストに入れられていたという。

 また「衛生職称」試験に申し込んだ任さんも、申し込み後すぐに「千順教育」というウィーチャットアカウントから友達申請を受け取った。「試験に出る問題集」を勧められて3200元(約5万5000円)支払うと、試験前日に問題集が送られてきた。しかし問題集の内容は試験に一切出ず、試験後「千順教育」のアカウントとは連絡が取れなくなってしまったという。

 騙されたことに気付いた人たちが、続々とインターネット上で被害を訴えた。その数は今回だけでざっと100人以上で、被害金額は2000~8000元(約3万4000~13万7000円)とさまざまだった。被害者はみな試験に申し込んで間も無く、「千順教育」から連絡を受けており、試験の申し込み情報が漏えいしたことは明らかだと訴えている。

 地元工商局によると、千順教育という会社は教育・研修などの資格は取得しておらず、すでに経営が正常でないとしてリストに登録されている。

 弁護士は、「受験者は理性的な判断をし、試験問題の売買が違法であるということを自覚し、受験者として正々堂々と自分の努力で試験に臨むべきだ」と指摘している。(c)東方新報/AFPBB News