■後見人制度を廃止しない限り、社会的変化はうわべだけ

 政府の統計では、現在就労を希望しているサウジ女性は100万人を超えるというデータもある。改革によって、サウジの労働市場は女性に対して徐々に門戸を開き、かつては男性の領分と決まっていた職種に女性が採用される動きも出てきた。

 サウジの景気後退について専門家は長引く原油価格の下落を理由に挙げているが、そうした不況が主要因となった社会の変化によって初の試みも次々に導入され、ここ数か月、女性初のレストランシェフや獣医、ツアーガイドの誕生を報じるニュースも目につくようになってきた。

 しかし女性たちは、厳しい現実に直面している。女性の方が男性たちより優れた資質を備えているケースが多いにもかかわらずだ。

 米首都ワシントンにあるアラブ湾岸諸国研究所(Arab Gulf States Institute)の研究員、カレン・ヤング(Karen Young)氏はAFPに対して、「サウジ女性は高学歴だが、移動手段が限られていて就職率も低く、賃金は非常に低い」と話した。

 調査会社Jadwaによると、サウジの民間企業の平均月給は、男性が8000サウジ・リヤル(約23万円)近いのに対し、女性はわずか5000サウジ・リヤル(約14万円)ほどだ。世界経済フォーラム(World Economic Forum)による2017年の世界男女格差年次報告書(Global Gender Gap Report)では、サウジアラビアは144か国中138位という低さだった。

 しかしサウジの活動家たちは、女性が勉学や旅行、その他の活動を行う際に男性の近親者から許可を得ることを義務付ける厳格な後見人制度が廃止されない限り、社会的変化はうわべだけのものになるだろうと指摘する声が上がっている。

 この制度によって多くのサウジ女性は、支配的な父親や暴力的な夫、母親に罰を与えようとする息子の気まぐれに左右されやすい立場に置かれている。