【3月12日 AFP】17-18イタリア・セリエAは11日、第28節の試合が行われ、フィオレンティーナ(Fiorentina)は主将ダビデ・アストリ(Davide Astori)の死去以降初めてとなる試合を、ホームで迎えた。

 アストリは先週、ウディネーゼ(Udinese)との敵地での一戦を前に滞在していたホテルの部屋で亡くなり、4日に予定されていたセリエAの試合はすべて延期となっていた。

 本拠地アルテミオ・フランキ(Artemio-Franchi Stadium)に最下位のベネベント(Benevento Calcio)を迎えた一戦は、心を打つ雰囲気の中で行われた。

 試合前のウオームアップではフィオレンティーナの全選手やステファノ・ピオリ(Stefano Pioli)監督が、アストリの名前と13の背番号が入ったシャツを着用。アウェー側サポーター用に用意された席以外、満員となったスタジアムには「さようならキャプテン」や「僕らのキャプテンよ永遠に」と記されたバナーが並び、発煙筒からはチームカラーである紫色の煙が空に立ちこめた。スタンド上部を取り囲む掲揚塔の旗は、すべて半旗となった。

 またスタジアム内のビジョンにはアストリを追悼する映像が流され、スタジアムアナウンサーはメンバー発表時に「背番号13、永遠のキャプテン、ダビデ・アストリ」と亡き主将の名前を読み上げた。

 フィオレンティーナとベネベントの選手たちは、アストリの元所属クラブであるカリアリ(Cagliari Calcio)、そしてフィオレンティーナのユニホームを着た子どもたちと入場。フィオレンティーナの選手は「さようならダビデ」と書かれたバナーを掲げた。同じ言葉は、両チームのユニホームの左肩にも記されていた。

 スタジアムが静寂に包み込まれる中、選手たちが握手を交わしコイントスが行われると、選手たちはセンターサークルに再び整列し、黙とうをささげた。それが終わるとともに、スタンドからは「ダビデ」の声が上がった。

 試合は予定より6分遅れてキックオフされたものの、さらにもう一度追悼のために試合が止まった。

 アストリの背番号である前半13分、試合がいったん止まると、選手や審判団が立ち止まって約1分間の拍手をささげた。

 するとフィオレンティーナはその11分後、アストリの代わりにセンターバックのポジションに入っていた背番号31番のビトール・ウーゴ(Vitor Hugo)が、打点の高い強烈なヘディングシュートを決めて先制した。ウーゴがアストリの顔がプリントされたTシャツを掲げると、スタジアムからは歓声が上がり、雨が強くなる中、サポーターは「キャプテンは一人、キャプテンは一人しかいない!」と歌声を響かせた。

 試合は、1-0でフィオレンティーナが勝利を飾った。(c)AFP