【12月2日 東方新報】中国旅行サイト最大手・シートリップ(Ctrip、携程)の社内託児所で起こった園児の虐待事件以後、託児所不足はさらに注目を集めるようになっている。託児所不足が事件の背景の一つとも考えられ、世間からは関係機関の早急な対応を求めている声が上がっている。

 3歳未満児の託児サービスの深刻な供給不足が、特に大きな焦点になっている。すべての夫婦に第2子出産を認める「2人っ子政策」によって託児需要は増え続けている一方で、託児施設不足、不十分な制度、監督部門の混乱など、託児分野における「発育不良」は顕著に現れている。

 誰が、どのように育てるのか。中国では、10月に閉幕した第19回党大会で「すべての幼児が不都合なく施設に通える」という意味のスローガン「幼有所育」を掲げた。

■現実:0~3歳児の入園は「狭き門」

 政府の統計によると、全国の幼児が地域の託児・保育施設を利用する入園率は4.1%程度。一部の発展途上国では50%に達しているのに対し、中国の水準はこれに遠く及ばない低さだ。0~3歳の幼児を持つ家族の悩みの種でもある。

 北京市(Beijing)に住む劉さんは2年前、この困難に見舞われた。子どもは当時3歳未満で、幼稚園の入園条件を満たせず、やむを得ず近所の「家庭託児所」に子どもを預けたが、利用から3か月も経たずその託児所は無資格だという理由で閉鎖された。劉さんは、「仕方ありませんでした。自宅では両親に交替で見てもらうしかなかった。家政婦はいつも入れ替わるし、家には室内監視モニターなどを取り付けてもいない。耐えに耐え子どもがやっと3歳になり、ようやく幼稚園に入園させることができたのです」と言う。

 こうしたことは、小さな子どもを持つ家庭の共通の問題になっている。上海市婦女連合会が2017年初に実施した調査では、88%以上の上海の家庭が託児サービスの必要性を感じてという。