【11月26日 AFP】イタリア名産のチーズ2種類「パルミジャーノ・レッジャーノ」と「グラナ・パダーノ」が、放牧ではなく屋内で飼育され、衰弱し時には脚が不自由で歩行困難な乳牛から搾られた牛乳で生産されている実態が、英畜産動物福祉団体「コンパッション・イン・ワールド・ファーミング(CIWF)」の指摘で明らかになった。

 CIWFは最近入手したとする、ポー川(Po River)流域の平原にある農場9か所で撮影された動画を公開。動画には、自らの排せつ物の中で転倒し、衰弱した牛たちが耐えている「衝撃的な」状況が捉えられている。CIWFはこの動画を活用して「#notonmypasta」というハッシュタグで、パルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノの生産者に、牛乳の供給元に対して福祉を考慮した指針を設けるよう求めている。

 牛乳の供給元は推計50万頭の乳牛を飼育しており、年間売上高は50億ユーロ(約6700億円)に上る。

 パルミジャーノ・レッジャーノの生産者協会の広報担当者は、「わずかではないとしても、チーズの品質に打撃を与えるものではない」との理由から、高級品の生産規格で動物福祉については考慮されていなかったことを認めた。ただ、動物福祉の最低基準を順守するため認証制度の導入を進めていると述べ、生産者は福祉基準に注意を払っていると強調した。(c)AFP