■どんな階級の人にも「クール」

 1990年代の大きな押し込み戦略は、カラフルなデザインを展開する「ハワイアナス」の名を知らしめた。このブラジルの会社は今では、150種類ものモデルを販売している。ベーシックな5ドル(約560円)のビーチサンダルから、ブラジルの小さな国旗とトロピカルモチーフをあしらった9ドル(約1000円)のもの、「スワロフスキー(Swarovski)」のクリスタルをあしらったラグジュアリーな60ドル(約6700円)以上のものもある。

 コパカバーナ(Copacabana)のショップではテレコム会社勤務の55歳、ソランジュ・ブラッシャー(Solange Brascher)さんが平均的な価格のビーチサンダルを娘のために購入した。「以前は貧しい人たちのものというイメージがあった」と彼女は言う。「でも今はどんな社会階級の人たちもクールだから履いている」

「ハワイアナス」は毎年2億足以上を販売し、その16%を輸出している。本当の「ブラジルらしさ」としてサッカーやサンバーと肩を並べる存在だ。「ハワイアナスは私がここに着いて一番に友達へのおみやげとして買ったもの」とポルトガル人の若い観光客であるベアトリス・ロドリゲス(Beatriz Rodrigues)さんは語る。「すでに10足も買っているが、さらに10足購入しようと思っている。ヨーロッパではもっと高価だからだ」

 今日、サン・パウロ(Sao Paulo)に本部を持つ「アルパルガタ」は100カ国以上で700以上の販売店を持つ。「ジェトゥリオ・ヴァルガス財団(Getulio Vargas Foundation)」の経済学教授、クローディオ・ゴールドバーグ(Claudio Goldberg)氏は「ハワイアナスはブラジルの魂の象徴で、欲望の対象、ブラジルそのものを表している」と考える。