■微妙な平衡状態

 トランプ大統領は、北朝鮮の核の脅威を止めることを自身の外交政策の最優先課題に掲げている。もし中国が北朝鮮の金正恩(Kim Jong-Un)体制を抑え込むことに失敗した場合には、北朝鮮に対して一方的に行動を起こすことも辞さない構えだ。

 習主席は4日、訪問先のロシアで、米韓に軍事演習の中止を働きかける見返りに、北朝鮮に兵器開発の停止を求めることを提案。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領からの同意を得た。

 しかし、一部の専門家らは、北朝鮮と関わりのある銀行や企業などに対する厳しい措置を講じたり、さらには食糧や燃料などの供給量を減らしたりするなどして、中国は米国に譲歩することも可能と指摘する。

 他方で、英リスクコンサルタント「コントロール・リスクス(Control Risks)」のアンドリュー・ギルホルム(Andrew Gilholm)氏(大中華圏北アジア地区担当)は、「大事なのは、国連(UN)が制裁を講じるか否かではなく、中国がどの程度制裁を履行できるかだ」と話す。

 現在の米中関係について、香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)のウィリー・ラム(Willy Lam)教授(政治学)は、「微妙な平衡状態にある」としながら、「もし彼ら(中国)が早いうちに動かなければ、米国はピンポイント攻撃といった何らかの行動について検討する可能性がある」との考えを述べた。

 中国は今年後半、主要な共産党大会を控えており、ここで指導者としての地位をさらに強固なものにしたい習主席は、この党大会前の混乱を避ける目的で行動に出る可能性がある。このことについてラム氏は、トランプ政権による先週の一連の措置に対して中国は怒りをあらわにしているため、「米国と渡り合うことに失敗した」と見られないよう習主席が水面下で動くことも考えられると指摘している。(c)AFP/Allison JACKSON