【5月31日 AFP】フランスの裁判所は30日、首都パリ(Paris)の飲食店のオーナーに対し、2015年11月に同市内で起きた同時襲撃事件の様子を捉えた映像を英紙に提供した罪で、罰金と損害賠償金合わせて2万ユーロ(約250万円)の支払いを命じた。

 130人が死亡した事件発生からわずか5日後、英紙デーリー・メール(Daily Mail)は、飲食店「カーサ・ノストラ(Casa Nostra)」で、銃弾が撃ち込まれる中、必死で身を隠す恐怖におびえた客らの様子を捉えた衝撃的な映像を公開。映像に映っていたのが自分であることに気付いた男性2人と女性1人がオーナーらを相手取って裁判を起こしていた。

 イスラム過激派の実行犯が銃を乱射した際、この店の客に死者は出なかったが、店の外の通りにいた5人が犠牲となった。

 複数の情報筋によると、デーリー・メールはオーナーのディミトリ・モハマディ(Dimitri Mohamadi)被告に映像を提供した謝礼として5万ユーロ(約620万円)を支払っていた。フランスのテレビ局、キャナルプラス(Canal Plus)は交渉が行われる様子を秘密裏に撮影した映像を放映している。

 モハマディ被告は映像を提供したことで金銭は得ていないと否定していたが、共同被告の1人は6000ユーロ(約74万円)を受け取っていたことを認めた。

 モハマディ被告は、保安上の映像を権限のない人物に漏えいしたなどの複数の罪で有罪を言い渡された。

 原告の3人は判決が言い渡された当日、裁判を傍聴していたが、コメントは発表していない。(c)AFP