【4月6日 AFP】韓国の大物実業家で現代(Hyundai)財閥の御曹司として知られる鄭夢準(Mong-Joon Chung、チョン・モンジュン)氏が6日、国際サッカー連盟(FIFA)から科された5年間の活動停止処分を不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴することを表明し、ジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)前会長に雇われた「殺し屋」のような振る舞いをしているとして、FIFAの倫理委員会を批判した。

 FIFAの元副会長で会長選にも出馬していた鄭氏は、韓国が開催地に立候補していた2022年サッカーW杯(2022 World Cup)招致に向けたロビー活動で規則違反があったとして、職務停止処分を受けていた。

 韓国・ソウル(Seoul)にある大韓サッカー協会(KFA)の本部で会見を開いた鄭氏は、ブラッター前会長の遺産に反発するため提訴したと説明し、「自分の名誉を取り戻すためではない。仲間とともに声を上げるために行動するのだ」と述べると、FIFA倫理員会の主要メンバーを「ブラッターによる任命官」と指摘した。

「FIFAは現在、新しいリーダーシップの下で改革を目指しているが、FIFAの倫理委員会は今でもブラッター氏の殺し屋のような振る舞いをしており、これには失望している」

 鄭氏は先日、サッカー関連の活動を全面的に禁じられたことについて、スイス・ローザンヌ(Lausanne)にあるCASに処分撤回を求める構えをみせていた。

 2015年に6年間の職務停止処分を科されていた鄭氏だが、昨年7月には証拠不十分として処分期間が5年間に短縮され、罰金についても10万スイスフラン(約1000万円)から5万スイスフラン(約500万円)に軽減された。

 鄭氏は「票の取引」や「利益を提供する印象を与えた」とされる自身への疑惑について、FIFAが証拠を見つけられなかったとし、制裁を取り下げるべきだと主張した。

 ブラッター前会長の後任を決める会長選に立候補していた鄭氏だが、最終的には出馬を断念しており、欧州サッカー連盟(UEFA)で事務局長を務めていたジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)氏が新会長に選出され、スキャンダルにまみれたFIFAの改革に取り組んでいる。(c)AFP