【3月2日 AFP】英国反ドーピング機関(UKAD)のニコール・サプステッド(Nicole Sapstead)会長は1日、元自転車選手のブラッドリー・ウィギンス(Bradley Wiggins)氏に届けられた小包に禁止薬物が含まれていたかを明らかにする可能性があった医療記録を適切に保管しなかったとして、チームスカイ(Team Sky)とそのチームドクターのリチャード・フリーマン(Richard Freeman)氏を非難した。

 ウィギンス氏は昨年、2011年と2012年のツール・ド・フランス(Tour de France)や2013年のジロ・デ・イタリア(2013 Giro d'Italia)の直前に、禁止薬物のトリアムシノロン(triamcinolone、ステロイドの一種)の治療目的使用の適用措置(Therapeutic Use Exemption、TUE)を得ていたことが発覚。その後、同氏が2011年のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(Criterium du Dauphine)開催中に受け取っていた小包の中身に注目が集まっていた。

 サプステッド会長はこの日、英文化・メディア・スポーツ委員会に対し、チームスカイのフリーマン氏が小包の中身を特定できる唯一の人物だったとしたうえで、問題となる情報が入っていた同氏のノートパソコンは、2014年の休暇中に盗まれたと報告した。

 サプステッド会長によると、実際に盗難報告があったかについては、現時点で国際刑事警察機構(インターポール、InterpolICPO)から確認を得られていないという。

 これを受けて、英文化・メディア・スポーツ委員会のダミアン・コリンズ(Damian Collins)委員長はAFPに対し、フリーマン氏が適切に医療記録を保管していなかったのは、同国の自転車競技界にとって重大な欠陥だと語った。

 コリンズ委員長は、「レースから休暇までの3年間でフリーマン氏が医療記録をアップロードしていなかったのは問題だ」と話し、同氏が他のドクターたちが記録にアクセスできるよう、クラウドサービスのドロップボックス(Dropbox)でファイルを共有していなかった点を問題視した。

 コリンズ委員長はまた、「チーム全体の運営として、チームドクターが各ライダーに与えている医薬品を適切に把握していないのは非常に大きな問題だ」とすると、「これは重大な欠陥であり、われわれは英国自転車連盟(BC)に釈明を求める」とコメントした。

 これまでの捜査に1000時間以上を費やし、元選手やBC、チームスカイの関係者ら計34人と面談を重ねてきたサプステッド会長は、「記録は存在しない…。彼は医療記録をノートパソコン上に保管するだけでなく、チームスカイのポリシーによれば、それらの記録を他のチームのドクターがアクセスできるように、ドロップボックスにアップロードすることを要求されていた」としたうえで、「しかし、理由が何であれ、彼はそうしなかった。そして2014年のギリシャでの休暇中にラップトップが盗まれたんだ」と述べた。 (c)AFP/Pirate IRWIN