■重量をめぐる疑惑

 バルハス氏は、2015年大会の直前にモーターを積んだ自転車が何台か売れ、鍵付きの倉庫へ納品したと発言。同じ話をフランスの警察にもしているという。モーターは後輪のハブ部分に隠せるタイプもあり、モーターを積んだ車輪は通常のものより重さが800グラム増すという。

 2015年のツールでは、タイムトライアルステージの前に、各選手の自転車の計量が行われた。そしてCBSが紹介した大会関係者の言葉によれば、スカイの選手の自転車だけがほかの自転車より、それぞれ800グラムほど重かったという。

 レモン氏は、「重量はすべてだよ。1キロも重いバイクに乗っていたら、レースなんてできるわけがない」と話している。

 スカイのクリス・フルーム(Chris Froome)は2013年、2015年、そして2016年に総合優勝を果たしており、中でも2015年には、「最強のヒルクライマー」の称号である山岳賞の獲得と総合優勝を同時に成し遂げている。1970年以降、ダブル受賞を果たした選手は、ほかに一人もいない。

 スカイの広報担当はCBSに対し、機械による補助を行ったことは一度もないと疑惑を否定し、他チームより自転車が重めだったのは空力を考慮したためで、国際自転車競技連盟(UCI)の検査も通過していると話している。

 しかし、CBSが報じた匿名の情報源のコメントによれば、フランスの捜査当局はスカイの自転車の車輪を外し、車輪のみの重さを量ってモーターが積まれているかを確かめようとしたが、UCIの許可が得られずに断念したという。

 レモン氏は、「違反ができてしまうんだ。UCIがモーターをなくす方法を突き止めるまで、連中のことは信じない。誰がツール・ド・フランスを勝とうと、その選手のことは信じない」と話し、UCIに違反根絶のさらなる取り組みを求めている。