【12月26日 AFP】今年のスポーツ界は、ドーピングをはじめ金銭問題や性的虐待などスキャンダルが相次いで発覚した一年だった。ここでは、2017年に展開が注目される五つのスキャンダルを取り上げる。

■ロシアのドーピング

 2017年の第16回世界陸上ロンドン大会(16th IAAF World Championships in Athletics London)までに、ロシア陸上界が国際大会への復帰を模索する中、同国スポーツ界ではドーピング問題の改善はこれまで見られていない。

 国際陸上競技連盟(IAAF)はすでに、ロシア陸上競技連盟(ARAF)の資格停止処分を来年2月まで延長。世界反ドーピング機関(WADA)のクレイグ・リーディー(Craig Reedie)会長は今年11月、AFPの取材に対して、ロシアがドーピング検査で国際基準を満たすまでには、「非常に長い道のりがある」と述べている。

 ロシアはドーピングを犯罪とする新法を可決したものの、カナダの法律家リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏の報告書で指摘された国家ぐるみのドーピングを強く否定。海外の専門家は、同国は疑惑を否定しながら十分な協力姿勢を示しておらず、外国人に対して閉ざされた都市はドーピングの「ブラックホール」であるという見解を示している。

 今年8月のリオデジャネイロ五輪では、110人を超えるロシア選手が出場を禁止されており、国際オリンピック委員会(IOC)は、ソチ冬季五輪ロンドン五輪を含むロシア選手の検体の調査を開始した。

 同国の重量挙げも激震に見舞われているほか、一連のスキャンダルを受けて、ソチ(Sochi)で行われる予定だったボブスレー・スケルトンのIBSF世界選手権(IBSF World Championships 2017)の開催地が変更された。

■サッカー界の汚職

 国際サッカー連盟(FIFA)は、2015年5月にスイス・チューリヒ(Zurich)のホテルで7人の役員がスイス当局に拘束されて以降、組織体制が一新された。しかしながら、米検察当局は捜査続行を諦めておらず、事件の重要なカギを握る8人は、起訴内容を認めない限り、来年11月6日には米ニューヨーク(New York)で裁判に直面することになる。

 FIFA元副会長のジェフリー・ウェブ(Jeffrey Webb)被告は、脅迫や資金洗浄のほかに有線通信不正行為の起訴事実を認め、来年5月に判決が言い渡されることになっている。さらに、ジャック・ワーナー(Jack Warner)元副会長とニコラス・レオス(Nicolas Leoz)元理事の2人も、2017年に米国へ引き渡されることになっており、米国当局は41件の個人や会社を、総額2億ドル(約225億円)を超える贈収賄で訴追している。

 それ以外にも、米・スイス検察当局は現在、2018年W杯ロシア大会(2018 World Cup)と2022年W杯カタール大会(2022 World Cup)の開催地決定をめぐる疑惑や、ジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)前FIFA会長の関与について捜査を進めている。