【10月25日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)は24日、ロシアの組織的なドーピング違反を内部告発したビタリー・ステパノワ(Vitaly Stepanov)氏をコンサルタントとして雇用し、同氏の妻で陸上選手のユリア・ステパノワ(Yuliya Stepanova)にも援助の手を差し伸べていると公表した。

 ステパノワ夫妻が情報源となり、国家ぐるみのドーピングが横行している事実が発覚したことによって、露スポーツ界は各国際競技連盟から資格停止処分を科され、同国の多くの選手が今年のリオデジャネイロ五輪に出場できなくなった。

 現在ステパノワ夫妻は米国に身を潜めて暮らしているが、スポーツ専門サイトのinsidethegames.bizでIOCのトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長が2人と面会したと報じられると、同委員会の広報担当者はAFPに対し、「会長は数週間前に2人と会いました。われわれは現在、夫妻に援助を申し出ています」と認めた。

 陸上女子800メートルの選手であるステパノワは、過去のドーピング違反を理由にリオ五輪の出場が認められなかった。こうしたICOの処遇について不満をあらわにしていたステパノワ夫妻だが、今回の契約によって、露反ドーピング機関(RUSADA)の元職員であるビタリーさんは反ドーピングのコンサルタントに就任し、妻のステパノワはトレーニングのための奨学金が与えられている。

 ビタリーさんはinsidethegames.bizで、「今後もドーピングとの闘いを続け、ロシア時代や内部告発者としての経験を生かせる立場にいることを、とても喜んでいる」とコメントした。

 世界反ドーピング機関(WADA)の報告書に記載されている国家主導のドーピング疑惑を否定しているロシアは現在、各国際競技連盟への復帰に向けて必死に取り組んでいる。(c)AFP