【8月18日 AFP】ロシアの組織的なドーピングを内部告発したユリア・ステパノワ(Yuliya Stepanova、旧姓:リサノワ〈Rusanova〉)は17日、国際オリンピック委員会(IOC)が4年後の東京五輪でも自分の出場を認めることはないだろうとの見解を示した。

 IOCからリオデジャネイロ五輪の出場を禁じられたステパノワは、ドイツ公共放送ARDに対して「一連の騒動により、私の五輪出場の可能性は絶たれたと思う」と述べ、「IOCには、今後も私の五輪出場を認められないことを思い知らされた」と語った。

 30歳のステパノワは、去年ロシアの国家ぐるみのドーピングスキャンダルが発覚して以来、内部告発を手助けした夫のビタリー(Vitaly)さんと息子とともに米国に居住している。ステパノワの告発により、ロシアの選手は現在、あらゆるスポーツの国際舞台から出場を禁止される事態に陥った。

 2011年から2013年の間、ドーピング違反による出場停止処分を科されていたステパノワは、国際陸上連盟(IAAF)によって陸上欧州選手権(European Championships in Athletics 2016)の出場を許可されたものの、リオ五輪では過去にドーピング違反を犯したロシア選手は出場不可という新たな基準により、出場はかなわなかった。

 IOCのトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は、ドーピングを経験した選手からの不正告発を今後も期待していると話しているが、不正を告発しながらも五輪出場が結果的にかなわなかったステパノワは、自身の出場を禁止したバッハ会長の決断を批判している。

「バッハ会長の私に対する態度は、ほかのロシア選手に対するものと同じだった。彼は私の過去(ドーピング違反を犯した)を利用した。残念ながら、私に過去は変えることはできないし、どうすることもできない」

 ステパノワは15日、世界反ドーピング機関(WADA)の個人アカウントがハックされたことを受け、「もし私たちに何かが起きた場合は、それが事故ではないということを分かっていただきたい」とコメントし、夫とともに身の危険を感じていると明かしていた。ロシアでは半年前、モスクワ反ドーピングセンター(Antidoping Centre Moscow)の関係者2人が突然死している。

 ロシアだけでなく、リオ五輪に出場するほかの国の選手にもドーピングに手を染めている選手がいると考えているステパノワは、自身と同じように不正告発を考えている他国の選手に対して、IOCが過去のドーピング違反を基準にする以上、五輪出場は今後も認められることはないだろうとしている。(c)AFP