【9月27日 AFP】米連邦捜査局(FBI)は26日、2015年に同国で起きた暴力犯罪の件数が前年から増加したと発表した。米国では同日夜、今年の大統領選で初のテレビ討論会が行われる予定で、共和党候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏がこの統計を引き合いに民主党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官を批判する可能性がある。

 FBIによると、昨年の暴力犯罪件数は119万7704件で、前年比で3.9%増加。殺人・傷害致死事件は10.8%増え、うち3分の2で銃器が用いられた。殺人事件の増加は、主にシカゴ(Chicago)、ボルティモア(Baltimore)、ヒューストン(Houston)、ミルウォーキー(Milwaukee)、フィラデルフィア(Philadelphia)、カンザスシティー(Kansas City)、首都ワシントン(Washington D.C.)の7都市での件数増加に起因しているという。

 これに対しジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)大統領報道官は、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領の就任以降で見ると、暴力犯罪率は15%減っていると強調している。

 今回の統計結果は、米大統領選で注目を集めるクリントン氏とトランプ氏による討論会の数時間前に発表された。討論会では、犯罪が主要議題の一つになる見込みだ。

 米国で大きな影響力を持つ銃ロビー団体の支援を受けているトランプ氏は、暴力犯罪や麻薬密輸には不法移民らが関わっており、国境管理の不行き届きが国家を脅かしているという持論を繰り返し展開し、オバマ政権の犯罪対策を軟弱と非難していることから、FBIの発表を討論会で採り上げ、この問題を解決できるのは自分しかいないと訴える可能性もある。(c)AFP