【9月7日 AFP】パキスタン北東部の都市ラホール(Lahore)の中心部にある同国最古の売春街ヒーラマンディ(Heera Mandi) は何世紀もの間、魅惑的なダンサーやミュージシャン、売春婦たちが集まる場所だった。

 だが地元住民たちによれば、この歴史的な一角は衰退の危機にさらされているという。

 かつて美しい女性たちが立っていたバルコニーには今は誰もいない。空き家となった部屋のドアはさびだらけだ。現在も唯一残っているのは、音楽とダンスを支えていた楽器を売る店だけだ。

 男性は今や、専門のウェブサイトで女性を探したり、ソーシャルメディアで直接誘ったりしている。昔のように街角に立っている女性を探し求めたりしなくなった。

 客を誘う「場所」に意味がなくなったため、売春婦たちはヒーラマンディから姿を消していった。

 ヒーラマンディとは、「ダイヤモンド市場」という意味だ。ムガル(Mughal)帝国の時代、ヒーラマンディはエリート層のために演じられる伝統的な歌と踊りの中心地だった。

 富裕層の中には息子をタワイフと呼ばれた高級な踊り子のところに送り、マナーを勉強させていた人たちもいた。

 その後、パキスタンが英国の植民地になると、伝統芸能の踊り子と売春婦の境界線は曖昧になった。