【8月19日 AFP】ロンドン地下鉄(London Underground)の一部路線で19日から、週末限定の終夜運行が始まる。労働組合側との交渉などで時間がかかり、当初の計画から11か月ほど遅れての実現となったが、夜間も営業する飲食店や娯楽施設の売り上げ増など地元経済の活性化につながりそうだ。

「ナイトチューブ(Night Tube)」と呼ばれる終夜運行サービスは金曜日と土曜日の夜に提供される。まず、ロンドンの中心部と西部ノッティングヒル(Notting Hill)、南部ブリクストン(Brixton)をつなぐビクトリア線(Victoria Line)とセントラル線(Central Line)の2路線で導入される。

 年内にはさらにジュビリー線(Jubilee Line)、ノーザン線(Northern Line)、ヒースロー空港(Heathrow Airport)に直結するピカデリー線(Piccadilly Line)にも拡大する予定だ。

 終夜運行は当初、昨年9月に開始する予定だったが、労働条件や賃金をめぐって労働組合との交渉が難航していた。

■深夜バスに対抗

 運行時間の延長により、夜の街で飲み歩く人や、観光客、夜間シフトの労働者たちは時間を気にせず地下鉄を使えるようになる。現状ではロンドンで深夜1時以降も営業している飲食店は比較的少なく、各店の営業時間は米ニューヨーク(New York)など他の都市に比べて早い。大半のパブは午後11時に閉店する。

 地下鉄を運営するロンドン交通局(TfL)は、ナイトチューブによって新たな雇用が生まれ、バーやクラブ、レストラン、音楽イベントなど夜間に活動する経済の起爆剤になると期待を示している。

 一方で、性犯罪をはじめ各種犯罪が増えるとの見通しを示したTfLの内部メモが流出したこともあり、新サービスの安全性をめぐる懸念も持ち上がっている。英交通警察は終夜営業となる144駅の警備のため、警官100人余りを追加配置する方針だ。

 TfLはナイトチューブが営業する午前0時半~6時の間に18万回の利用を見込む。うち半数以上は既存のバスやタクシーからの切り替え客になるとみている。ロンドンでは深夜バス路線が比較的充実しているが、特に郊外路線では遅延などダイヤが乱れることもある。タクシーはやはり料金が高い。

 ロンドン地下鉄は1863年に開業し、年間利用者数は10億人を超える。(c)AFP