【5月12日 AFP】インドで、70代の女性が2年間にわたる体外受精(IVF)治療の末に初出産したことについて、同国の医師らは11日、倫理上や健康上の懸念を表明した。

 北部ハリヤナ(Haryana)州の治療院で不妊治療を受けていたダルジンダー・コー(Daljinder Kaur)さんは先月、79歳の夫との間にできた健康な男児を出産した。

 コーさんは自身の年齢を70歳前後と述べているが、治療院が発表した声明では72歳とされている。インドでは出生証明書を持たない人が多いため、自分の正確な年齢を知らない人は珍しくない。

 しかし、AFPの取材に応じた不妊治療専門医のスンニル・ジンダル(Sunil Jindal)氏は、60歳以上の女性に対する体外受精治療は倫理的な問題があると指摘。母体への負担や、高齢の両親がどうやって子どもの面倒を見ていくのかという問題もあると述べた。

 また、インドの首都ニューデリー(New Delhi)近郊メーラト(Meerut)の婦人科医、アンシュ・ジンダル(Anshu Jindal)氏は、60歳を超えた女性には、母子いずれのためにならないとして、不妊治療を推奨していないと語った。

 コーさんの不妊治療を手掛けた治療院の医師は10日、AFPの取材に対し、検査の結果、コーさんの健康状態が妊娠・出産に耐えられるものであることが分かったため治療を行ったと述べた。

 同治療院はAFPに対し、体外受精には夫妻の精子と卵子を使用し、3度目の試みで男児が無事誕生したと説明しているが、英紙ガーディアン(Guardian)は11日、同治療院の医師の話として、使用された卵子は第三者から提供されたものだったと報じた。

 同医師は11日、AFPの取材に対して、倫理的な問題から質問には応じられないとコメントした。(c)AFP