【4月15日 AFP】ドイツ当局は14日、オートバイギャング「ヘルズ・エンジェルズ(Hells Angels)」との関連が疑われている首都ベルリン(Berlin)最大の売春施設を家宅捜索し、6人を逮捕したと明らかにした。捜査には、警官や税務・関税当局の捜査員ら900人以上が参加したという。

 警察や検察の話によると、身柄が拘束されたのは、ヌードサウナクラブと称する施設「アルテミス(Artemis)」の支配人2人と、施設の運営に関わっていた女4人。施設内には、売春婦117人と、100人以上の客がいたという。

 ドイツでは売春自体は合法だが、警察によるとこの4階建ての大規模売春施設では「残虐で違法な売春行為」が組織的に行われており、弱い立場の女性らが深刻な搾取を受けていたという。

 夜間に行われたこの捜索で身柄を拘束された6人には、税金詐欺に加え、社会保険料の負担を怠っていた疑いがある。さらに警察は、同クラブで人身売買が行われていた可能性についても捜査しているという。女性たちの大半は、東欧やロシア、またはアラブ諸国の出身者だった。

 検察当局によると、ヘルズ・エンジェルズのバイカーらは施設側に女性の採用をあっせんし、施設の無料利用などの見返りを得ていた疑いが持たれている。警察は、「ヘルズ・エンジェルズ」に所属するバイカーで元交際相手だった男に虐待を受けたとされる売春婦の1人から情報提供を受け、捜索に踏み切ったとしている。

 同市の主任検事によると、捜査員らは1920年代にイタリア系米マフィアのボス「アル・カポネ(Al Capone)に対して行ったように」、脱税容疑に注目しているという。

 警察は同施設が、表向きは女性たちを「自営業」扱いしながらも、実際は勤務時間や料金、サービス内容を固定し従業員として働かせていたと指摘。同市の関税当局者は、脱税容疑に加え、女性らの社会保険料を負担せず、国に対して少なくとも1750万ユーロ(約22億円)の損害を与えたとしている。

 警察は、640万ユーロ(約7億8800万円)分の現金や車、ベルリンをはじめ国内各地のマンションなど12か所を含む不動産を差し押さえたという。(c)AFP