【3月17日 AFP】「アンネの日記(Diary of a Young Girl)」の著者で、ドイツ生まれのユダヤ人少女、アンネ・フランク(Anne Frank)が、ナチス・ドイツ(Nazis)によるホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)で亡くなる前に所有していた童話集の本が、近く、米ニューヨーク(New York)でオークションに出品される。競売会社が16日、発表した。本には自筆で名前が書かれており、落札価格は2万~3万ドル(約230万~340万円)に上るとみられる。

「白雪姫」や「ヘンゼルとグレーテル」などが収録されているグリム兄弟(Brothers Grimm)の独語版童話集は、アンネと姉マルゴット(Margot Frank)が、1942年にナチスから逃れるための隠れ家に移り住むまで所有していたもので、読み古された跡が見て取れる。

 オークションは5月5日に開催の予定。主催する米競売スワンギャラリー(Swann Galleries)によると、アンネは、扉のページの余白に自分と姉の名前を書き入れているという。この本は、5月2日にニューヨークにある同社ショールームで一般公開される。

 記名の手書き文字はアンネが書いた他の文字サンプルと一致するとされ、また表紙の裏には、MFというイニシャルの紫色のスタンプが押してある。ただ、アンネがこの本を入手した時期や、名前を書き入れた時期は分からないという。本は、1925年にオーストリア・ウィーン(Vienna)で出版されている。

 アンネは、ドイツ・フランクフルト(Frankfurt)で1929年に生まれ、姉のマルゴットは1926年に生まれた。家族は、ナチスから逃れるため、1930年代にオランダのアムステルダム(Amsterdam)に移住した。その後、1942年に隠れ家での生活が始まっている。