【12月28日 AFP】米イリノイ(Illinois)州シカゴ(Chicago)で26日、家庭内のもめ事を受けて出動した警察官がアフリカ系米国人2人を射殺した。うち1人について警察は誤射を認めている。シカゴでは26日だけで計3人が警察に射殺されており、あまりにも安易な発砲だとして遺族らは警察官の対応を批判している。

 5人の子を持つ母親のベティー・ジョーンズ(Bettie Jones)さん(55)と、工学部の学生クイントニオ・ルグリアー(Quintonio LeGrier)さん(19)は26日早朝、市内の住宅でもめ事が起きているとの通報を受けて急行した警官に撃たれた。

 報道によると、ルグリアーさんは精神的な問題を抱えており、事件当時は野球のバットを手に父親を脅していたという。警官は現場に到着して間もなく発砲し、弾はルグリアーさんに命中した。警察側は、ルグリアーさんがバットを手に階段を駆け下りてきたと主張している。

 ジョーンズさんはルグリアーさん宅の階下に住んでおり、到着した警官のためにドアを開けたところ警官が発砲した弾が当たり、同日中に病院で死亡した。

 警察は声明で、「警官らは闘争的な容疑者に直面したため発砲し、2人に致死傷を負わせた」「55歳の被害者女性は、誤って撃たれ、不幸にも死亡した。遺族や友人に心からお悔やみを申し上げる」と釈明した。

 ジョーンズさんとルグリアーさんの遺族や友人は27日、記者会見を開き「こうしたことは、もう終わりにしなければならない」「(シカゴの警察は)殺傷力の高い武器を、不要な場面で使用した」と訴えた。ルグリアーさんの母親ジャネット・クックジー(Janet Cooksey)さんは、「息子は7回も撃たれた。1発は臀部に当たっていたから、逃げようとしていたはずだ」と述べ、「わが子を母親が葬らなければならないなんて」と悲しみを訴えた。

 シカゴではこの事件から数時間もしないうちに、別件で男性1人が警官に射殺された。この男性は銃を持っていたが、警官が発砲した際には既に武器を捨て、両手を上げていたとの報道もある。

 シカゴ警察をめぐっては、警官が安易に発砲しすぎるとして多くの市民が批判の声を上げている。11月には、黒人少年が白人警官に16回も撃たれて死亡した昨年の事件の映像が公開され、大規模な抗議デモが起きていた。(c)AFP