【11月19日 AFP】日本のスポーツ選手にとって、50歳というのは30歳のことを指すようだ。

 サッカー元日本代表の三浦知良(Kazuyoshi Miura)が所属クラブとの契約を延長し、50代でのプレーに意欲をみせた翌日、43歳になったスキージャンプの葛西紀明(Noriaki Kasai)も、まだまだ現役続行の思いを口にしている。

 危険と隣り合わせの過酷なスポーツであるスキージャンプだが、葛西は昨年11月、W杯通算17勝目を挙げて定説を覆し、トップレベルを維持していることを証明した。当時42歳だった葛西のW杯優勝は史上最年長で、初優勝から実に22年を経ての戴冠だった。

 葛西は欧州合宿に飛び立つ前、日刊スポーツ(Nikkan Sports)に対し、「(三浦とは)対談していろいろ話していただいた。お互いに刺激し合ってやりたい。僕も50歳まで現役を続け、世界の第一線で活躍したい」と語っている。

 世界保健機関(WHO)の調査によれば、日本は先進国のなかでも高齢化のペースが速い部類に入り、平均寿命は最も長い。それでも、ターボエンジンを搭載した日本のシルバー世代は今年、スポーツの世界で数々の記録を樹立している。

 今年4月には100歳の長岡三重子(Mieko Nagaoka)さんが、水泳の1500メートル自由形の100歳から104歳の部に出場し、史上初めてこの距離を泳ぎ切ることに成功した。9月には、105歳以上の部に移動した宮崎秀吉(Hidekichi Miyazaki)さんが、自身の持つ陸上短距離100メートルの世界記録を更新している。

 そして、かつてアジアナンバーワンの人気選手として名を馳せ、ブラジル、イタリア、クロアチアなどでもプレーした輝かしい経歴を持つ三浦は、Jリーグ2部(J2)の横浜FC(Yokohama FC)と契約を更新し、現役を続行することが決まった。

■念願の五輪金メダルへ

 43歳になった葛西を駆り立てているのは、いまだ手にすることができていないタイトル、すなわち五輪金メダルに対する強い思いだ。

 北海道出身の葛西は、1994年のリレハンメル冬季五輪で団体戦の銀メダル、2014年のソチ冬季五輪でラージヒルの銀メダルを獲得したが、日本が団体で金メダルを獲得した長野五輪では、メンバー入りを逃している。

 葛西は「この年になってジャンプも固まってきて、維持すればW杯で通用するレベルにある。変えずにいきたい」と話している。

 現実的に考えれば、2018年に行われる平昌冬季五輪が、金メダル獲得の最後のチャンスになるだろう。北京冬季五輪が開催される2022年には、50歳の誕生日が近づいている。滑走路を猛スピードで滑り降り、130メートルの飛行をするのがふさわしい年齢とは考えづらい。

 葛西は平昌について、「まだ先なので意識していない。1年前になれば」と話した。(c)AFP