【10月26日 AFP】イラクのクルド人自治区政府は25日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の収容施設で米特殊部隊と共同で実施した大胆な急襲作戦の様子とする映像を公開した。

 米軍の特殊部隊「デルタ・フォース(Delta Force)」に支援されたクルド人先鋭部隊は22日、イラク・ハウィジャ(Hawijaj)近郊にあるISの収容施設から約70人を救出した。

 この救出作戦で、米国のジョシュア・ウィーラー(Joshua Wheeler)曹長(39)が死亡した。この作戦により、地上部隊を派遣しないと約束していた米政府の誓約への疑念が浮上したが、米国防総省は、作戦に関与した部隊は顧問の役割を担っていたと説明している。

 クルド人自治区治安委員会(KRSC)が公開した映像は、ヘルメットに装着されたカメラで撮影されたものとみられる。

 映像では、銃声がほぼ絶え間なく響く中で作戦を実施するデルタ・フォースの兵士とみられる部隊や、KRSCの対テロ部隊とみられる戦闘員が写されている。

 映像はすべて建物内部で撮影されたもので、綿密に計画された素早い作戦で、人質らを整列させ、身体検査を行った後に脱出させる様子が写っている。

 KRSCによると、作戦にはクルド人兵士48人と米兵士27人が参加。「人質」69人が救出され、ISのメンバー20人以上が殺害された。

 米国防総省は、救出した69人はスパイ容疑をかけられたISのメンバーや地元住民だったとしている。住民らは、ISの厳しい規律に違反して拘束されていた可能性があるとされる。同省は作戦実施の理由について、これらの人々が作戦実行日に処刑されることを示す明確な情報と、既に遺体を埋める穴が掘られたことを示す映像がきっかけだったと説明している。(c)AFP