【4月26日 AFP】ボクシング、IBF・WBA・WBOヘビー級タイトルマッチ12回戦が25日、米ニューヨーク(New York)のマディソン・スクエア・ガーデン(Madison Square Garden)で行われ、王者ウラディミール・クリチコ(Wladimir Klitschko、ウクライナ)は判定の末3-0(116-111、116-111、118-109)でブライアント・ジェニングス(Bryant Jennings、米国)を下し、王座防衛に成功した。

 無敵の王者として君臨しているように見えながら、米国のボクシングファンの支持を得られていないクリチコは、この日もファンに印象を残すことはほとんどできなかったが、ここまで無敗だった挑戦者を下して18度目の防衛を達成した。

 クリチコはこれで戦績を65勝3敗に伸ばすとともに、22連勝を達成。さらに米国の伝説的ボクサー、ジョー・ルイス(Joe Louis)氏が記録したヘビー級の王座防衛の最長記録25回に近づきつつある。

 3本のベルトをかけたクリチコは序盤、左ジャブを使って主導権を握ると、相手の身長191センチメートルに対し、198センチというリーチの差を生かして優勢に立った。

 ところが、クリチコが最後に敗れた2004年当時は用務員として働いていたジェニングスも、素早いフットワークからの鋭い飛び込みで、試合中盤は王者をかなり苦しめた。

 それでも最終回に入るとクリチコが重いパンチで反撃し、繰り返しのホールディングでマイケル・グリフィン(Michael Griffin)レフェリーから1点減点を受けたものの、その点差は詰まらなかった。判定が発表されると、歓声が鳴り響き、ウクライナの国旗が振られた。

 対するジェニングスはこれで19勝1敗となったが、ポイントはもっと僅差だったはずだと話した。

 ジェニングスは、「採点はまったくの的外れだと思う」とコメント。試合は「どちらに転んでもおかしくなかった」と確信しているとつけ加えた。

 クリチコも、ジェニングスが近年の対戦相手では最も手ごわかったことを認め、「間違いない。素晴らしいパンチスピード、素晴らしいフットワーク、優れた運動神経、そして勝利してチャンピオンになることへの強い飢えを持っていた」とコメントした。

「本当はもっと右を出したかったんだが、ブライアントがそのチャンスを与えてくれなかった」と話したクリチコは、これでヘビー級のタイトルマッチを27回戦い、ルイス氏の階級記録に並んでいる。

 クリチコは次戦で、WBCの王座奪取に挑む可能性がある。WBCの王座は以前は弟のビタリ(Vitali Klitschko)氏のものだったが、現在はデオンテイ・ワイルダー(Deontay Wilder、米国)が保持している。ワイルダーは1月、バーメイン・スタイバーン(Bermane Stiverne、カナダ)に勝利して同級王座を奪った。(c)AFP