■商店主とイマームを逮捕

 検察当局によると、同組織の鍵となる人物は、サルデーニャ島のオルビア(Olbia)に長年暮らしていた商店主のカーン・スルタン・ワリ(Khan Sultan Wali)容疑者と、イタリア北部のブレシア(Brescia)やベルガモ(Bergamo)で布教活動を行っていたイマーム(イスラム教の指導者)、ズルキファル・ハフィズ・モハメド(Zulkifal Hafiz Mohammed)容疑者。

 イタリアの警察当局の発表によると、盗聴した電話の録音から、今回摘発された組織のメンバー2人が、2011年5月にパキスタンで米特殊部隊に殺害される前のビンラディン容疑者の警護を務めていたことが判明。その他のメンバーは、ビンラディン容疑者の死後も同容疑者の親族と連絡を取り合っていた。

 今回逮捕された、または行方が追われている容疑者のうち一部は、2009年10月にパキスタン・ペシャワル(Peshawar)のミーナ市場(Meena Bazaar)で発生し、100人以上の死者と200人以上の負傷者を出した爆破事件に関与した疑いももたれている。

 カルタ氏によると、この爆破事件の計画立案と資金集めが実質的にオルビアで行われ、イタリアを拠点とする過激派が関与した証拠があるという。

 ミーナ市場爆破事件では被害者の多くが女性や子どもだった。当時パキスタン当局はこの事件をパキスタン軍の掃討作戦に対するタリバン(Taliban)の報復と非難したが、タリバンは関与を否定していた。

 ワリ容疑者は、セレブを含む世界中の大金持ちが休暇に訪れるサルデーニャ島にある、小さなイスラム教コミュニティーのリーダーの1人だった。

 警察当局によると、同組織は買収したビジネスマンを利用して短期滞在ビザを取得したり、民族・宗教的迫害を受けたと虚偽の難民申請の手助けをしたりして、パキスタン人やアフガニスタン人をイタリア経由でヨーロッパに密入国させていた。

 検察当局は、密入国に関わる活動やチャリティーで集めた資金は、アルカイダ系武装勢力やタリバンなどパキスタンの過激派組織に送られていたとしている。(c)AFP/Angus Mackinnon