【3月30日 AFP】映画「007」シリーズ主人公ジェームズ・ボンド(James Bond)役で知られる英俳優ロジャー・ムーア(Roger Moore)さん(87)が、次期ボンド役とうわさされる英俳優イドリス・エルバ(Idris Elba)さんをめぐって人種差別的な発言をしたとして、ツイッター(Twitter)上で非難する声が上がっている。ムーアさんは29日、この発言を否定し、誤解と主張した。

 1973~85年の同シリーズ7作品でボンドを演じたムーアさんは、仏誌パリ・マッチ(Paris Match)に掲載されたインタビュー記事について、「私がイドリス・エルバさんに対して人種差別的な発言をしたかのように書かれているが、これはまったくの誤りだ」とツイッターに投稿。「記者に『ボンドは英国人であるべきか』と聞かれ、それを肯定したら、イドリス・エルバさんについての発言のようにとられた。これは文脈から外れている」と述べ、記事内容を否定した。

 同シリーズは、これまでに23作品が製作されている。主役のボンドは、ショーン・コネリー(Sean Connery)さん、ジョージ・レーゼンビー(George Lazenby)さん、ムーアさん、ティモシー・ダルトン(Timothy Dalton)さん、ピアース・ブロスナン(Pierce Brosnan)さん、ダニエル・クレイグ(Daniel Craig)さんらが演じてきた。

 パリ・マッチにフランス語で掲載された記事によると、ムーアさんは「ジェームズの役はこれまで、スコットランドやウェールズ、アイルランド出身の俳優らが演じてきた。しかし、私は真の英国人が演じるべきだと思う。(エルバの起用は)おもしろいアイデアではあるが、現実離れしている」と述べたとされる。

 ムーアさんからの反論の声が上がったことを受け、パリ・マッチの担当者は、録音された会話が残っているとし、「ロジャー・ムーアさんの言葉が忠実に文字に起こされていることの証明となる」と述べ、「ムーアさんが示唆しているのは、黒人のジェームズ・ボンドを受け入れることが難しいということ。ドゴール将軍(General de Gaulle)を黒人の俳優が演じたり、ジェームス・ブラウン(James Brown)を白人の俳優が演じたりするのは想像できないという意味だ」と付け加えている。(c)AFP