■免疫細胞を「訓練」

 研究チームは、HIVに感染されていない免疫細胞を採取し、変異したウイルスや、「保存」タンパクを持つ非変異型ウイルスにさらした。

 そして訓練した免疫細胞を、今度はエスケープ変異を持つ患者の感染細胞にさらした。

「保存」タンパクを持つ非変異型ウイルスを用いて事前に訓練した免疫細胞は、感染細胞の61%を殺傷できた。だが、変異したHIVだけを用いて訓練した免疫細胞は反応が弱く、感染細胞の23%しか殺傷できなかった。

 シリチアーノ教授は、声明で「まるで免疫系がHIVを見つけて無害化する能力を失ったかのようだが、T細胞(免疫細胞)を訓練して、HIVのタンパク質の他と異なる変異していない部分を認識できるようにすることで、その生来の殺傷本能を再び目覚めさせた」と説明している。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、1981年以降、エイズを引き起こすHIVに感染した患者の数は約7800万人に上るという。これまでに3900万人が、エイズ関連の病気で死亡している。(c)AFP/Richard INGHAM