【10月28日 AFP】香港(Hong Kong)で民主的な行政長官選挙の実施を求める大規模なデモの発生から1か月を迎えた28日、民主派の運動家らは、警察が発射した催涙ガスやスプレーを防ぐために使ったマスクをつけて、夜の集会に参加するよう支持者らに呼び掛けた。

 運動に新たな勢いをつけたい集会の主催者側は、抗議行動の拠点となっている行政府庁舎前に集まり、午後5時57分(日本時間午後6時57分)から87秒間の黙とうで始める記念集会に参加するよう呼び掛けている。これは9月28日に香港市議会付近の幹線道路を平和的に占拠したデモに対し、機動隊が発射した催涙弾の数にちなんでいる。

 主要な抗議グループの一つ「オキュパイ・セントラル(Occupy Central、中環を占拠せよ)」は、街頭デモが機動隊との衝突に陥ったこの日に使ったマスクやゴーグルを着けて参加しようと訴えている。

 警察の催涙スプレーや警棒、さらにまだ暑かった日の日差しや突然の豪雨から身を守るためにデモの参加者が編み出した工夫にちなんで、香港の抗議行動は「雨傘革命」と呼ばれてきた。

 交流サイトのフェイスブック(Facebook)上ではあるグループが、警察の強硬な取り締まりと政治的進展の欠如に失望と怒りを示すために、午後6時に一斉に傘を開く行動も呼び掛けており、9000人が参加を表明している。

 デモは開始から5週目に入るが、抗議行動はやや行き詰っている。デモを主導する学生団体の代表と、香港政府の交渉役らは1週間前に対話の場をもったが、ほとんど進展はなかった。一方で、民主派が行っている道路封鎖で混乱が生じていることに不満を募らせている香港住民がいることもデモを率いるリーダーたちは気付いている。

 この状況を通じ、香港の梁振英(Leung Chun-ying)行政長官の支持率は急落している。香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)が行った最新の調査によると、梁長官に対する評価は0~100までの評価スケールで38.6ポイントにとどまり、12年の就任以来最低に落ち込んでいる。(c)AFP/Jerome TAYLOR