【9月15日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が3人目の欧米人の人質を斬首したことにより、イスラム国撲滅を目指し15日にパリ(Paris)で開かれる国際協議を前に、米国が主導する対イスラム国有志連合の結束は強化された。

 イスラム国は13日に公開したビデオで、英国人の援助機関職員デービッド・ヘインズ(David Haines)氏(44)の殺害場面を公開した上で、身柄を拘束しているもう一人の英国人アラン・ヘニング(Alan Henning)氏を次に殺害すると脅迫。デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相は翌14日、テレビ放送された声明で、ヘインズ氏の殺害を「悪魔の所業」と呼び、犯人らを必ず追い詰めると宣言。英国は「必要なあらゆる手段を取る」準備があると語った。

 険しい表情を浮かべたキャメロン首相は「どんなに長くかかろうと、われわれは殺害犯を見つけ出し、処罰を下す」と表明。「ISIL(イスラム国の旧名)と、同組織が支援するものを、段階的に撃退、解体し、最終的には破壊する。冷静かつ慎重に、だが鉄の決意でこれを遂行する」「われわれだけで行うのではなく、同盟国、それも米国や欧州だけではなく、(中東)地域の同盟諸国と密に協力しながら行う」と語った。

 キャメロン首相は、対イスラム国の軍事行動を求め国内で高まる圧力に直面しているが、イラク北部およびシリアで米国が実施する対イスラム国空爆作戦への参加の有無には言及しなかった。英国は先週からイラク北部でイスラム国戦闘員と戦うクルド人部隊に武器を供給し始めたが、その戦略をめぐり混乱が生じているとの批判があがっている。

 米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官は、イスラム国に対抗するための幅広い国際連合を推進するためにパリ入りした。同連合は既にサウジアラビアを含むアラブ10か国の後ろ盾を得ている。

 有志連合結成の試みは、オーストラリアが兵士600人のアラブ首長国連邦(UAE)派遣を表明したことにより、さらに前進した。また、仏大統領府も、ヘインズ氏殺害は「凶悪」な行為であり、国際的な取り組みの必要性を改めて示したと指摘している。(c)AFP/Alice Ritchie