【8月6日 AFP】イングランドサッカー協会(Football AssociationFA)は5日、試合中の脳振とうに関する新規則を発表し、意識をなくしている疑いのある選手は交代を義務づけることを明らかにした。

 昨シーズンのリーグ戦、またW杯ブラジル大会(2014 World Cup)で、頭部を激しく打った選手がその後もプレーを続行する場面が何度も見られたことを受け、FAは、手続きを厳格化して脳振とうのリスクを減らすことを決めた。

 新たなガイドラインは、選手の処置について「一定時間、意識を失っていることが確認された、または疑われた選手は、プレーフィールドから出され、復帰は認められない」と定めている。

「事態の経過について疑問点があれば、審判団やほかの選手から聞き取りを行ってもよい。事態について、ピッチ脇もしくは控室への通路でリプレー映像が見られる場合は、それを使って経過を確認することもある」

「意識を失っていないとみられる場合は、フィールド上もしくはタッチラインの外で確認を行う」

 プレミアリーグでは、各チームの医療スタッフが脳振とうの兆候を見極める際の補佐として、全試合で「トンネル・ドクター」を通路に配置することが義務づけられる。

 これまでのFAの規則では、頭部を負傷した選手も「医療資格を有する者が許可した場合、試合に復帰できる」とされていた。

 脳振とうについては昨シーズン、トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)のGKウーゴ・ロリス(Hugo Lloris)が、11月のエバートン(Everton)戦で、一時的に意識を失っているように見えたにも関わらずプレーを続行したことで、大きな話題となった。

 フランス代表でもあるロリスは、エバートンのロメルー・ルカク(Romelu Lukaku)の膝蹴りを頭に受け意識がもうろうとしているように見えたが、本人がプレーを続けると主張した。

 脳の損傷に関する慈善団体「ヘッドウェイ(Headway)」は、ロリスのプレー続行を認めたトッテナムの「無責任かつ無謀な姿勢」は罪深いと話している。

 またW杯ブラジル大会では、ウルグアイ代表のアルバロ・ペレイラ(Alvaro Pereira)が、グループリーグのイングランド戦で、相手のラヒーム・スターリング(Raheem Sterling)と交錯して一時意識を失ったが、プレーに復帰した。(c)AFP