【7月3日 AFP】シリア化学兵器の廃棄作業は2日、最終段階に入り、化学兵器処理装置を備えた米海軍補助艦「MVケープ・レイ(Cape Ray)号」への積み込みが、イタリア南部のジョイアタウロ(Gioia Tauro)港で行われた。

 立ち入り制限など厳しい警備態勢が敷かれた同港では、米艦船と船尾と船尾を合わせて係留されたデンマークの貨物船から、数百トンものマスタードガス、そしてサリン神経ガスの原料が入ったコンテナが、クレーンと巨大な昇降台を使って積み替えられた。

 細心の注意を要する作業を監視していたイタリアのジャン・ルーカ・ガレッティ(Gian Luca Galletti)環境相は、「いまのところすべて順調。スムーズな積み替え作業を整えるのは大変な努力だった」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 この作業は化学兵器禁止機関(Organisation for the Prohibition of Chemical WeaponsOPCW)の監督下で実施されており、現地ではイタリア人環境活動家らが「毒船」に抗議する中、安全管理官たちが危険な化学物質流出の恐れがないかを絶えず監視している。

 現場の当局者によると、米艦船MVケープ・レイへの積み込みは1時間当たりコンテナ6~7個のペースで進んでおり、同日午後遅くには78個中の62個が積み終わった。化学物質は積み替えを安全に終えた後、国際海域上で45~90日かけて処分される予定。

 米艦は、危険な化学物質を「中和」できる野戦展開加水分解システム(Field Deployable Hydrolysis System)2基を備えている。

 今回の化学兵器・物質の積み替えと処理により、「この地域の軍縮・非拡散に新たな可能性が開かれるだろう」とフェデリカ・モゲリーニ(Federica Mogherini)伊外相は述べた。(c)AFP/Giovanni GREZZI with Ella Ide in Rome