【6月6日 AFP】月は原始地球が他の天体と衝突した際に形成されたとする説を裏付ける新たな証拠が、1960~70年代に採集された月の岩石サンプルによって示されたとの研究論文が、5日に米科学誌サイエンス(Science)で発表された。

 月の形成については、約45億年前に誕生初期の地球と「テイア(Theia)」と呼ばれる惑星体の衝突によるものとする「巨大衝突(Giant Impact)説」が提唱されている。

 大半の専門家らはこの巨大衝突説を支持しているが、このような衝突が起きたことを確認する唯一の方法は、酸素、チタン、ケイ素などの元素の同位体比率を調べることだという。

 隕石(いんせき)によって地球に運ばれた月の岩石サンプルを調査したこれまでの研究では、地球と月の構成物質の組成が非常に良く似ていることが判明していた。

 だが今回の論文を発表したドイツのゲオルグ・アウグスト大学ゲッティンゲン(Georg-August-Universitat Gottingen)などの研究チームは、米航空宇宙局(NASA)の有人月探査ミッション「アポロ(Apollo)計画」のアポロ11号、12号、16号で月の表面から採集された岩石サンプルと最新の科学技術を用いて、新たな証拠を発見した。

 論文で研究チームは「月のサンプルから、わずかだが明らかに高い割合の酸素同位体が検出された」「この非常にわずかな差異は、月形成の巨大衝突説を裏付けるものだ」と説明している。

 巨大衝突の理論モデルでは、月は全体の70~90%がテイア由来の物質で形成され、残りの10~30%が地球に由来するとされてきた。

 だが研究チームは、検証にはさらに研究を重ねる必要があるとしつつも、月は地球とテイアの断片が半々の割合で混ざったものかもしれないと主張している。

 論文の主執筆者で、ゲオルグ・アウグスト大のダニエル・ヘルワルツ(Daniel Herwartz)氏は「この差異はわずかで、検出は困難だが、確かに存在する」と話す。

「これでようやく、巨大衝突は起きたと合理的に確信できる」

 今回の研究成果は、6月11日に米カリフォルニア(California)州で開かれるゴールドシュミット(Goldschmidt)地球化学国際会議で発表される予定。(c)AFP