【6月2日 AFP】W杯ブラジル大会(2014 World Cup)が開催されるブラジルでデング熱が流行している──。ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)やナイジェリア代表のジョン・オビ・ミケル(John Obi Mikel)が練習を行う予定の町では、状況は特に深刻だという。

 同国南東部サンパウロ(Sao Paulo)州から車で1時間ほどのカンピナス(Campinas)では、ポルトガルとナイジェリアの代表チームの到着を前に、ウイルスを媒介する蚊の大規模な駆除作業が行われている。

 同市では今年、確認されているだけでも3万2384人がデング熱に感染しており、うち少なくとも3人が死亡している。

 デング熱は、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)が媒介するウイルスによって感染する。感染すると、激しい頭痛、筋肉や関節の痛み、吐き気、発疹など、インフルエンザに似た症状が出る。ただ悪化すると死に至ることもあり、事実、カンピナスでは今年に入ってから、27歳、69歳、81歳の女性3人が死亡している。

 デング熱には治療法がなく、予防するのみだ。世界保健機関(World Health OrganisationWHO)は、感染が確認されている地域の住民に対し、蚊に刺されないために、網戸や虫よけ、除虫剤などの使用を推奨している。

 また肌の露出も避けるよう呼び掛けられている。サッカー欧州チャンピオンズリーグ2013-14(UEFA Champions League 2013-14)決勝でポルトガル代表チームのキャプテンのロナウド選手が見せた、ゴール後に上半身裸になるパフォーマンスはしばらくお預けになりそうだ。

 2000~2013年、ブラジルで報告されたデング熱感染は、約700万件に上っている。

 しかし、デング熱の脅威にさらされている町は、カンピナスだけではない。英医学誌「ランセット・感染症(Lancet Infectious Diseases)」は最近、ナタル(Natal)、フォルタレーザ(Fortaleza)、レシフェ(Recife)などでも感染リスクがあるとしている。(c)AFP/Yann BERNAL