【5月31日 AFP】米国務省のジェン・サキ(Jen Psaki)報道官は30日、内戦が続くシリアで反体制派のイスラム武装勢力に加わっていた米国人が自爆攻撃を行ったと発表した。シリア内戦で米国人が自爆攻撃を行ったのは初めてとみられる。

 サキ報道官の声明によると、この米国人の名前はモネル・モハマド・アブサルハ(Moner Mohammad Abu-Salha)とされ、今月25日に北部のイドリブ(Idlib)県で、爆発物を積んだトラックで政府軍の部隊を攻撃したとみられている。男はアブー・フライラ・アルアムリーキ(Abu Hurayra Al-Amriki)という別名で知られていた。アブ・フライラは預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の教友の名、アルアムリーキはアラビア語で「the American(米国人)」という意味だ。

 男についての詳しい情報はほとんどないが、米政府がテロ組織に指定した「アルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」に参加していたと言われている。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は複数の法執行当局者の話として、男は、フロリダ(Florida)州出身の中東系で年齢は20歳代だと伝えた。

 同紙によると、男はシリア北部の都市アレッポ(Aleppo)の訓練キャンプで2か月間過ごしたことがあり、昨年から2度目のシリア滞在中だった。目撃者や家族の証言から男の身元が浮上したが、爆発が激しかったため遺体の身元がはっきりと特定されることはないだろうという法執行当局者の話を同紙は伝えている。

 イドリブ県の自爆攻撃に米国人が加わっていたという報道は数日前から流れていた。アルヌスラ戦線の支援組織が公開し、米民間情報機関のSITEインテリジェンス・グループ(SITE Intelligence Group)が最初に報じた映像には、大きな爆発と、ひげを生やした若い男がネコを抱いている姿が映り、自爆攻撃を行った人物として紹介されていた。