【5月22日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)は21日、サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)の会場で、6月12日の開幕戦を控えるアレーナ・デ・サンパウロ(Arena de Sao Paulo)での2度目のテストを、予定より3日遅れの6月1日に開催すると発表した。

 同スタジアムでは18日、最初のテストマッチとしてブラジル国内リーグの公式戦が開催されたが、そこで多数の問題が明らかになり、大会組織委は2度目のテストを実施することを決定していた。

 アレーナ・デ・サンパウロは予算超過、建設の遅れ、合計で3人の死者が出た建設作業中の事故の影響で、いまだ完成に至っていない。

 FIFAのジェローム・バルク(Jerome Valcke)事務局長は、ツイッター(Twitter)で「臨時の追加座席や関連施設を含め、あらゆる設備を満員に近い試合の状況下でテストすることが欠かせない」とコメントしている。

 同スタジアムでは29日にコリンチャンス(Corinthians)対クルゼイロEC(Cruzeiro EC)の試合が行われる予定だった。

 しかし、ブラジルサッカー連盟(Brazilian Football ConfederationCBF)は今回、公式戦の予定を変更し、10月にリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で行われる予定だったボタフォゴFR(Botafogo FR)対コリンチャンスの試合を、コリンチャンスの主催試合として6月1日に開催することを決めた。

 FIFAは声明を発表し、今回の試合では5万人以上の観客を動員すると同時に、18日の試合では消防署による安全審査をパスできず、開放されなかった2つの臨時席エリアをテストする必要があると語った。

 18日の試合は3万6000人の観客を集めたが、W杯の試合の予想入場者数6万8000人には遠く及ばなかった。

 現地組織委は12日の開会式、そしてブラジル対クロアチアの大会開幕戦に間に合わせるため、現在も急ピッチでスタジアムの建設作業を進めている。

 ガラス屋根の一部はまだ設置が済んでおらず、18日のテストでは雨にさらされる観客もいた。そのほかにもこの日は、エレベーターとエスカレーター、携帯電話の回線、スタジアム外の照明が問題となった。

 現地紙エスタド・ジ・サンパウロ(O Estado de Sao Paulo)によると、約2万席分の臨時席での作業は、2度目のテスト予定日だった29日では間に合わないとしている。3月に作業員1人が転落して死亡する事故が起こったことで、このエリアの作業には遅れが生じている。

 スタジアムはこの日、当初の期限である昨年12月31日から大幅に遅れてFIFAに引き渡され、残りの11会場も今週中にすべて引き渡される。しかしクリチバ(Curitiba)、クイアバ(Cuiaba)、ポルトアレグレ(Porto Alegre)でもスタジアムはまだ完成していない。(c)AFP