【5月26日 AFP】サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)開幕が迫るなか、開催都市の1つリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)の路上では、色鮮やかな「グラフィティ(落書きアート)」によるW杯批判が展開されている。

 背景には、リオ市議会が2月、重要文化財に登録された建築でなければ公共物にもグラフィティを描いてよいと認める法令「GrafiteRio」を可決したことがある。描くテーマは商業目的、わいせつな内容、人種差別など差別的なものでないことが条件だ。

 アーティストたちが描くグラフィティには、W杯に対する愛憎入り混じる強烈かつ複雑な市民感情が反映されている。

■「暴力振るう大会マスコット」で風刺

 ラランジェイラス(Laranjeiras)地区には、2002年日韓W杯でブラジルチームの優勝に貢献したロナウド(Ronaldo)選手のグラフィティが描かれている。丘の上のサンタテレサ(Santa Tereza)地区にあるグラフィティは、1958年のスウェーデン大会でのブラジル初優勝を記念した内容だ。

 だが、W杯の負の面に焦点を当てたグラフィティも少なくない。今大会の決勝会場となるマラカナン・スタジアム(Maracana Stadium)の近くには、大会マスコットが目隠しされた裸の人物を暴行しているグラフィティがある。

 裸の人物は、正義を象徴したものだ。マスコットの横には「W杯のせいで、どれだけ多くのものが排除されたのか?」とのメッセージが記されている。スタジアム改修に伴い、近隣のスラム街が取り壊され住民が強制退去させられたことを指している。

 また、「W杯後」と書かれたTシャツを着た大会マスコットがコカインを吸引している絵や、ブラジル代表のネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)選手やW杯トロフィーの絵にバラの花を銃口に刺したカラシニコフ(Kalashnikov)銃を組み合わせたコラージュも見られる。